マンスリーNewsletter「ロジスティクス・インサイト」vol.002

ロジ・リーグ(Logistics League)では、製造業や物流業、ファンドマネジャーなど、当社パートナー企業へのインタビュー記事を掲載します。業界内外の様々な観点から『物流業の今後や期待すること』『成長の基軸』などについて、自由に語っていただきます。

日本の産業を支える「物流」への想いを、是非ご覧ください。

第一回目は、昨年7月にTOBを経て完全独立された、
三洋電機ロジスティクス(株)代表取締役 社長執行役員 浅野勉氏に伺います。

ロジ・リーグ第1回インタビュー
三洋電機ロジスティクス㈱代表取締役 社長執行役員 浅野勉氏

-2011年11月4日-  

-メーカーを親会社とする物流子会社から、独立系投資会社
(ロングリーチグループ)を主要株主とする完全独立を果たされましたが、
その後の事業運営に変化はありますか?

三洋電機ロジスティクス(株)
代表取締役 社長執行役員
浅野勉 氏

ビジネススキームや事業方向性について大きな変更はありません。但し、予算の 立て方や達成度合いは、要求される精度が高くなりました。特に、役職者の業績評価は強化しています。それに伴い、社員の間により緊張感が生まれたと感じています。

世間でよく耳にする、株主変更による大幅な賃金改定など一切実施していません。


主要なお客様にはこれまで同様、新しい株主の代表者と共にご挨拶に伺い、お客様の疑問に対して丁寧に説明しました。こうした機会を持つことはとても重要だと思っています。


従業員からも当初懸念していたような不安の声は上がりませんでした。三洋グループ自体が変革を迎えつつある状況でしたし、外部環境を理解し、適合してくれたのだと思います。

- コア事業である家電共配物流について、今後の方針をお聞かせ下さい。
また、今後注力する事業領域などはありますか?

家電物流をコア事業とすること、事業モデルとしてはアセットライトの3PLであること、この2つは継続していきます。一方で、第二・第三の柱は必要で、この点は株主も同意見です。そこで、いま3つの新事業に着目して、育てていこうと思っています。

1つ目は、住宅設備(以下、「住設」)分野です。
住設というと、今はソーラー関係が躍進しています。現在、三洋電機製ソーラーパネルの輸送を一手に受託していますが、住設にはキッチン設備・衛生機器・家具や家電など、実に多種多用な製品が含まれています。

現状は、設置会社各々がそれぞれ車を手配し、タイミングも配送会社もバラバラに納品するという、かつて家電量販店が頭を悩ませたことと同じ状況なのです。そこで、我々が既に構築している家電共同配送プラットフォームを活かせるのでは?と資材メーカーさんと協業を検討させて頂いております。

今後は、ソーラーパネルをはじめ幅広い住宅設備について、据付業務まで一貫サービスを提供していきます。この設置工事も、当社が家電製品で長年取組んできた宅配+設置サービスノウハウを転用できる分野です。

三洋電機ロジスティクス(株)
関西 流通センター


2つ目は、日本へ進出する海外メーカーのOUT-IN物流の取り込みです。これまでも、 ハイアール社やダイソン社など日本参入にあたり海外・国内一貫物流を受託してきました。
今後、特に中国・韓国製の家電製品は、日本市場でどんどん伸びると思います。
価格競争力を備え、品質は日本製に肉薄し、ブランドイメージも若年層を中心に好転しています。対照的に、日本の総合家電メーカーは、製品カテゴリーや機種を見直し、 絞り込みを進めています。「何でも揃う」と標榜したい量販店にとって、中国・韓国製品の投入は必然だと思います。

最後は、中堅メーカーの物流業務受託です。確実に物流アウトソーシングの流れは加速しています。中堅規模メーカーの場合、自社で物流子会社を持たない企業が多く、そうしたメーカーをターゲットに、しかも数多く獲得することで、顧客層が多様化し、リスク分散も図れます。 こうした新規分野へ挑戦するために、営業部員を増強しました。特に、メーカーで営業担当として活躍していた人材を数名採用し、前職で身に付けたセールススキルと、当社の物流ノウハウを融合した、新しい営業体制を構築中です。

-3PLノウハウの海外展開について、お考えをお聞かせください。

家電3PLに関しては、当社単独で、既存のお客様に先んじて海外進出することは考えていません。但し、お客様の要請があった場合はすぐに対応できるよう、準備はしています。

-今後の物流業界の動向について、どのようなお考えをお持ちですか?

まず、間違いなく「再編統合」の機運が高まると思います。また、荷主から「物流合理化の要求」はますます強まること、そして「CO2削減への社会的要請」が挙げられます。

三洋電機ロジスティクス(株)
九州 香椎浜センター

CO2削減に関しては、2年程前から取組んできたのですが、九州地区において、行政・家電メーカー10数社・量販小売店数社、そして物流元請である当社が旗振り役となって共同配送のしくみを立ち上げ、官民一体のCO2削減プロジェクトが間もなく動き始めます。

このモデルがワークすれば、他の地域にも展開する予定です。

もう一つ、業界として極めて深刻な問題が「人材不足」です。庫内作業をはじめとして、将来は外国人の雇用も考えなければなりません。

-業績見通しについて、お聞かせください。

2011年3月期は、連結売上高416億円でした(旧三洋電機ロジスティクス連結売上高)。
今期は、三洋電機における事業整理・統合の影響で減収となりますが、利益水準は維持できる見込みです。

成長目標は、3年後には新たな成長エンジンが、我社の事業基盤としてしっかりと根付いている姿です。それは、既存のお取引様にとっても競争力の強化や事業拡大により大きな力になれるものと確信しています。

- 最後に、M&Aについてはどのような戦略をお持ちですか?

いますぐに具体的案件はありませんが、冒頭申し上げた当社の戦略分野と合致する、或いは、同じ事業領域を持っていてシナジーが見込める、という場合は十分視野に入ります。また、海外の物流会社とのコラボレーションも考えられます。

現在の事業規模で安泰だとは思っていません。手法には拘らず、持続的な成長にむけてM&Aは欠かせないと考えています。

取材後記

ここ数年、物流業界におけるM&Aは急速に増加しています。

元来オーナー経営者の多い業界であり、各社(各経営者)の企業文化や風土が色濃く残っている経営基盤は、他社との統合を困難にする独特な業界でもありました。生損保や銀行のように、確立された仕組みをもつ複数企業の統合は、ポストM&A効果も想定可能です。それに比べ、仕組みより人的要素に重きを置く物流業界では、ポストM&A効果の想定しにくさが懸念要因として不安視されてきました。

今回取材した三洋電機ロジスティクス社は、投資ファンドを主要株主としたMBO方式による親会社からの独立でした。数少ない上場物流子会社でしたが、将来の成長軌道を「自立」によって見出した明確な戦略がその裏打ちとなっています。三洋電機の商品配送センターとして創業された同社は、時代の趨勢を読み取りながら、家電製品の共同配送というプラットフォームを構築した「ベストプラクティスモデル」といえるでしょう。


今後同社が家電製品以外の取扱いを進め、新たな業界モデルをどのように展開するのか、多くの物流関係者の期待と興味が注がれます。国内に約1,000社以上の物流子会社を有する日本企業は、グローバリゼーションへの対応と国内市場の縮小化問題を同時に解決しなくてはならない待ったなしの状態です。同社のポストMBOの動向は、今後の物流子会社再編の火付け役となるか、大いに期待されるところです。


また、同社を率いる浅野代表取締役は、明るく闊達な経営者であると感じました。投資ファンドが新たな株主として参加する経営は従業員がもっとも不安を感じていたと推測されますが、浅野代表の力強いリーダーシップとその人柄が、同社の新たなロードマップを歩んでいく大きな原動力と感じました。従業員、取引先、株主、更には物流業界の期待を背負って疾走する浅野代表の、今後のご活躍を祈念いたします。

三洋電機ロジスティクス様 ご紹介

会社概要

会社名

三洋電機ロジスティクス株式会社

本店

大阪府枚方市南中振三丁目2番27号
(支店・営業所 国内 29 (物流センター26)、海外1)

資本金

67億8百万円

代表者

浅野 勉

従業員数

489名(連結)(2011年3月31日現在)

株主

合同会社3PLホールディングス(ロングリーチグループ) 95%、
三洋電機(株) 5%

連結子会社

三洋ロジテクサービス(株)  北海道三洋ロジスティクス(株)

免許

貨物利用運送事業、貨物自動車運送事業、貨物運送取次業、
倉庫業、国際複合運送一貫事業者(NVOCC)

事業区分

ロジスティクス・ソリューション事業

・家電量販店等の3PL事業
・家電製品を中心とした宅配・設置事業

国内一般物流事業

・家電およびその周辺分野の大手メーカー向け物流業務事業

国際物流事業

・輸出入貨物取扱い管理代行を含む国際物流サービス(物流)、
 商品の輸出入業務(商流)



三洋電機ロジスティクスの強み

運営する倉庫は、従来のメーカー物流における倉庫や物流センターの機能に加え、流通系物流に最適な3PL機能をもたせた流通センターへ進化しております(共同プラットフォーム)。これにより、メーカー側の家電量販店やGMS系への商品配送効率を高め、メーカー・流通系双方の物流効率化(=効率的配送と高いコスト競争力)を実現しております。



三洋電機ロジスティクスの事業領域

家電分野における調達物流、生産物流、販売物流までのサプライチェーンマネジメント(SCM)を構築。その中でも近年家電量販店向け販売物流(3PL)を得意としております。
家電量販店向けの3PLの強化、共同プラットホーム化や宅配・設置事業の強化などによる家電分野での競争力の向上とあわせて、SCMや3PLのノウハウを活かして家電 以外での事業領域への進出による売上の拡大を推進しております。

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