ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

変革迫られる物流子会社のあり方

結果・提言

「物流子会社はプロフィット部門なのか、コストセンターなのか?」という問いに対する模範的回答は、

・コストセンターでありながらプロフィットを創出する組織

でしょう。他社と比較し、ローコストオペレーションが実現されなければ、委託の意味を問われることになります。最悪の事態を回避するためには、ベースカーゴを有するアドバンテージを武器に、競争力のある調達を実現し、オペレーション改善を重ねながら、スキルを蓄積することが必要です。

こうした業務運営はまた、外販を展開する際の強みとなり、かつ、自社に充分な利益をもたらす好循環へ繋がります。そして、外部顧客から獲得された利益は親会社に還元され、一層の貢献を果たすことに結実します。

この望ましい連鎖を生み出すために、考えうる成長の法則は、次の5つのポイントに凝縮されると思量します。

■ 成長の法則

その1: 既存の業界と異なる、新たな外販活動の展開
その2: 注力すべき業界の見極めとノウハウ獲得
その3: 組織営業の構築
その4: ローコストオペレーションを実行できる業務の定型化
その5: 荷主への貢献を数値で把握するシクミ作り

■ 成長の法則 その1:既存の業界と異なる、新たな外販活動の展開

物流という機能を親会社から見ると、コストのひとつである、と看做されることは必定でしょう。コストである限り、できるだけ廉価に、品質を保持した状態で提供されることを要求されます。

しかし、コストダウンにも限りがあります。「乾いた雑巾を・・・」という考え方もありますが、物量の増加がない限り、親会社が要望するようなコストダウン効果を捻出し続ける合理化策は、実行すべくもありません。
いくらコストセンターとしてコストカットに注力しても、一定以上の効果創出には、外販を通じた物量拡大を図らなければその継続は困難です。つまり、プロフィット機能を保有しなければコスト機能を全うすることができなくなるのです。物流子会社である限り、コストダウンとプロフィットとしての外販獲得は、企業として継続するための生命活動です。

企業によっては、明確に「コスト機能」と位置づけられている物流子会社もあります。しかし長期的な視点で捉えると、親会社への貢献及びコスト削減への対応力、独立した企業としての自律性を問われる場面が繰り返され、必ず「プロフィット機能」を持ち、発揮しなければいけない時期が来るといえます。

■ 成長の法則 その2:注力すべき業界の見極めと計画的なノウハウ獲得

親会社の商材以外の知識を保有して新規獲得を行うには、幅広い知識と営業体制が必要です。また、獲得した業務において、利益捻出できるローコストオペレーション体制構築には、当該商材で高い生産性を発揮できる、現場設計能力と管理能力が求められます。その実現には、ノウハウを保有した人的リソースが必須です。

人から組織にそのスキルを浸透させるためには、一定の時間を要します。計画的な採用と教育、あるいはM&A・アライアンスも視野に入れるなど、中長期的に戦略を策定し、着実に実行する必要があります。

■ 成長の法則 その3:組織営業の構築

営業に必要なノウハウが確保できた場合、販売展開するためには、次のような組織的バックアップが必要です。

・ターゲット業界の動向を把握し、商品・売り方を試行錯誤する機
・恒常的に顧客にPRし、企業の存在を告知し続ける機能
・顧客の商流と物流を理解して企画、設計、提案できる機能
■ 成長の法則 その4:ローコストオペレーションを実行できる業務の定型化

物流子会社の競争力の弱さのひとつとして、人件費が挙げられるでしょう。高い人件費が悪い、というわけではなく、高い生産性を発揮する役割があれば問題ありません。ここで問題としてとらえるべきは、業務ノウハウが属人的であるがゆえに、高い人件費の人材が低生産性の業務に従事している状況です。商品知識が必要といえども業務定型化を図り、正社員以外でも対応できる業務内容に変えていくことが重要です。

我々の経験の中で、物流に関わる業務の約90%は定型化できます。非定型といわれる業務は、社員もしくは専門性の高い人材が関わる部分として残りますが、定型部分の業務構成比を増やすことで品質低下を抑え、ローコストオペレーションを実現することが可能です。いつまでも「うちの業務は特殊で・・・」などと言っていると、コスト競争力を失います。

■ 成長の法則 その5:親会社への貢献を数値で把握するシクミ作り

一般的な物流事業会社と異なり、物流子会社が実践すべきことのひとつに、「親会社に対する物流貢献のアピール」があるでしょう。しかもグループ企業として財務状況をオープンにした中で、貢献具合を説明しなければなりません。その内容は、物流子会社として『ノウハウを活かしたもの』『製造、販売などの他部門と連携を取ったもの』『グループの情報システム連携を活かしたもの』『独自の企画や活動が実ったもの』が重要であり、その結果は、コスト・品質両面で数値に反映されていることが求められます。

子会社ならではの活動が奏功し一層の貢献がなされていること、それが数字で表現されていること、数値を根拠とした次のマイルストーンが提示されていること、が必要です。親会社に対しての貢献は、一般的な物流事業会社とは異なる視点が要求されます。

最後に・・・

親会社の業務で培った品質意識の高さや緻密な管理視点は、独立系の物流企業には真似できない、物流子会社独自の能力です。また、相対的に高いと指摘される人件費は、秀逸な人材を雇用する武器とも言え、高度な企画力・設計力を持つことが可能な企業体といえます。その強みを活かし、すでに述べた成長に向けた5つの法則を、具体的戦術として実行できれば、『コストでありながらプロフィットを創出する組織』になりうるのです。

あらゆる業界で合従連衡や再編が世界規模で加速する中で、物流子会社の戦う土俵は刻々と変化しています。気がついたら土俵際に押しやられていた、という事態になる前に、今再び、自らの環境を見極め、競争優位な戦略を立案し、危機意識を持って早急に実行することが物流子会社に求められています。

以上

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【発行日】

2012/01/12


【執筆者】

渡辺 庸介

ライン統括本部 次長




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