マンスリーNewsletter「ロジスティクス・インサイト」vol.005

ロジ・リーグ(Logistics League)では、製造業や物流業、ファンドマネジャーなど、当社パートナー企業へのインタビュー記事を掲載します。業界内外の様々な観点から『物流業の今後や期待すること』『成長の基軸』などについて、自由に語っていただきます。

日本の産業を支える「物流」への想いを、是非ご覧ください。

第二回目は、豊田通商梶@物流部統括企画室 室長 千野公弥氏に伺います。同社は、トヨタグループの世界戦略を支える商社として、常に先端的なSCMに基づく調達・供給を求められ、それに欠くべからざる高度な物流管理・オペレーションを担ってきました。

近年は、エネルギー資源領域から、衣料・食品といった川下の生活消費財まで、バリューチェーンを網羅する総合商社として戦略的投資を加速させており、求められるロジスティクス機能は多様化しています。

 

ロジ・リーグ第2回インタビュー
豊田通商株式会社 物流部統括企画室 室長 千野 公弥氏

-2012年2月2日-  

―景気減速が長期化する可能性が指摘されていますが、貴社における物流の経営上の位置づけや方針について変更はありましたでしょうか。また、お考えをお聞かせください。

現下の経済状況が製造業に与える影響として、大きく2つ挙げられると考えています。
「国内製造拠点の、海外シフト」と、「海外拠点の、海外間でのシフト」です。

前者についてはコストダウン追求という側面もありますが、別の要素として例えば中国で急拡大する国内需要に応えるため、同国へのリソース重点配置を求められているという背景があります。

後者の「海外間シフト」は、既存の中国における製造拠点を、さらにコスト低減が可能なASEAN諸国へ移管しようという動きです。

具体的にはこうした状勢が、日本からの自動車部品物流の減少傾向となって現れています。
トヨタグループは、現地調達比率を高めようという方針を打ち出しています。当社では、その施策に連動して、アジア域内の生産拠点を「マルチサプライ・ネットワーク」で繋ぐ仕組みを、早急に構築していきます。

また、海外への拠点移行が進行すれば、製造業各社は、それに伴って拡大する OUT-OUT、OUT-IN物流に対応しなければなりません。その中心的なサプライチェーンプレイヤーは、商社か物流専業会社です。現在、国内で当社とお取引があるお客様からは、国内外一括して物流を委託したい、という強い要望を感じています。メーカーはますます商社に対して商物一体の利便性を求め、商社サイドがその期待に応えられない場合は、商流までも失う事態が懸念されるほど、グローバル物流に対応できる能力・機能が求められていると考えています。

もともと、物流機能は総合商社のコア機能です。効率的な資源配置と、ロジスティクスの構築力・企画力をよりいっそう蓄えて、顧客ニーズに応えていきたいと思っています。

ーそのような外部環境変化のなかで、物流部としてはどのようなリソースへ重点投資される方向性でしょうか?

最も重要なのは、『人材への投資』だと認識しています。

例えば、当社が強みを発揮できる領域の一つとして、天然資源分野が挙げられます。豪州におけるガス開発権益やレアアース供給でのアライアンスなど、営業部門が次々とグローバル案件を成約するなか、そうした資源をどのようなルートで、どんなインフラを使って日本へ運ぶのか、といったロジスティクスの設計・運用、そして採算管理は、我々物流部の技量に託されています。それを遂行するには、もちろん世界中どこにでも赴き、ローカルスタディを実施し、コミュ二ティを開拓し、ロジスティクスネットワークとして組み上げる・・・と、いわゆる『商社マン』の仕事と何ら変わりません。これを担える「グローバル人材」の増強が物流部の目下喫緊の課題です。

こうした考えから、我々が「グローバル人材」として一番期待する能力は海外のステークホルダーを巻き込んだ『ネットワーキング・インテグレーション能力』です。語学力はOJTでも身につくものですが、SCM企画力やグローバルな感覚や思考を持ち合わせた人材確保は容易なことではなく、ビジネスのグローバル化との時間の闘いとなっています。

ーつぎに、貴社が物流パートナーに求める機能やサービスについて、重視される点をお聞かせ下さい。

国際物流への対応力が必須です。

上述したように、特にアジア圏内でのマルチサプライ体制は複雑化していますから、我々の求める地域で、拠点・輸配送ネットワークを既に構築している日系3PL企業がサービス品質・信頼性から望ましいと考えています。もちろん、ローカル企業とのコスト競争力を保持していることは大前提です。一方で、日系企業の少ない新興国では、やはり国際フォワーダーやローカル企業にアドバンテージがあります。

物流パートナーとしての決定要因は、(1)ネットワーク力 (2)コスト妥当性 (3)品質 の3点です。これらのバランスを測りながら、案件ごとにジャッジする方針です。

ー貴社グループでは、機能子会社として豊通物流蒲lを保有されています。物流子会社が有するべき機能や、戦略の方向性について、お考えをお聞かせ下さい。

物流子会社に対する考え方は、企業によって様々だと思います。豊通物流には、今後もグループの物流機能をサポートする総元請会社として、サービス拡充とコストマネジメント強化による貢献に努めてほしいと考えています。

元請会社が介在するリスクは2つ指摘出来ます。一つは、多重化によるコスト増加リスクです。この課題に関しては、当社営業部門とのトランザクションにおいては、豊通物流側の調達コストを開示することを原則とし、コストを透明化する中で、適正化を図ることとしました。

二つ目は、荷主の事業方針の変革に対する、機動的な物流対応力に関わるリスクです。仮に物流子会社が機能不十分であれば適切なロジスティクスは遂行されず、バリューチェーンが完結しません。
この点については、物流専門会社として外部顧客獲得活動を継続するなかで、多層的な機能蓄積を期待しています。

今後、豊通物流に期待する成長の方向性としては、3つ挙げられると思います。

豊田通商グループ内の物流に関して言えば、まず、未受託の物流領域獲得によってボリュームメリットを活かしたコスト低廉化の実現です。もう一点は、海外物流拠点の管理の担い手になってほしいということです。現在、豊田通商グループの物流事業会社は国内外で30数社を数えますが、これらを全て豊通物流が物流管理のプロフェッショナルとして人材を常駐させ、現場運営してもらいたいと思っています。
これについて、豊通物流では独自に「G60」というスローガンを掲げ、5年間で60人の「グローバル人材」育成プログラムを始動させています。

最後に、OUT-IN物流における一貫物流機能を充実することです。わが国は、GDPの6割弱を個人消費が支える消費大国ですから、一定の国内需要は永続的であると考えて良いでしょう。輸出通関以降・国内配送まで、NVOCCを完結するネットワークを高度化して頂きたいと考えています。その手法としては、M&Aも視野に入ると思っています。

取材後記

今回の取材を経て、3PL志向企業にはいよいよ「人材のグローバル化」が求められる時代が突入したと強く感じられました。1990年代より国際複合一貫物流や海外VMI、ダイレクトシップメントなど物流業界においてもクロスボーダー取引が隆盛となり、海外とのコミュニケーションを業務として図ることが求められてきました。

しかし実際に海外企業とのコミュニケーションを必要とされるのは、海外赴任者や一部の海外部門スタッフ及び日本語の上手な外国人スタッフに限定されてきたように思われます。特に日本人スタッフのグローバル化という点では、ライブで交渉ができるコミュニケーション力は、商社や海外進出製造業などの荷主企業に大きく遅れをとっていると痛感します。

本文中にもありましたが、「OUT-OUT」や「OUT-IN」の物流を企画し、顧客へ提案する営業力は、3PLを実践していく物流業の生き残り戦略といえます。

今後成長する物流業のキーファクターのひとつとして、「グローバル人材の確保及び育成」は他社との差別化を図るうえでの課題ではないでしょうか。

従来、国内物流の主要荷主であった日本の製造業は、その拠点を海外へシフトすることで生き残りをかけています。工場及び製品倉庫からの出荷物流に支えられた運輸・倉庫業は荷主構造の変革が求められます。その理由として、国内工場の門前から海外工場や港へ、荷主との集荷接点が移行しているからです。日本国内の配送や在庫拠点も、製造拠点が海外へシフトすることにより再編が想定されます。

これらの現象から今後の物流業界を予測すると、荷主企業と直接取引が中心であった倉庫・運輸業も、海外や港での物流体制を有している企業に元請けが移管することが現実問題として発生します。

商社が展開する商物一体となった3PLと、国際フォワーダーが実践する国際複合一貫輸送などのノンアセット型3PL企業に対して、倉庫業や運輸業といったアセット重視の物流企業がいかに戦っていくのか、生き残りをかけた各社各様のビジネスモデルが求められます。


豊通物流(株)様 ご紹介


会社概要
本社連絡先 〒450-0002 
名古屋市中村区名駅四丁目13番7号 西柳パークビル6F
TEL(052)569-4653 FAX(052)566-5100
設立 昭和38年3月15日
資本金 3億5千万円
株主 豊田通商株式会社 100%
国内拠点 中部地区を中心に全国に16拠点


常に時代を見据え、『HEART1 HEART CHAIN』
をモットーにお客様のニーズに応えた最適の物流を提案します。

今後は海外物流拠点にも注力し、グローバルネットワーク構築に力を入れてまいります。


主な事業内容
豊通物流ロジスティクスシステム

最先端のSCMシステムにより、ジャストインタイムの製品供給、物流コストの軽減を実現。

自動車部品の梱包輸出・輸入

小ロット、多頻度の納入、納期短縮などを図り、同時に輸送コストや貿易業務の軽減を実現。高品質保持を徹底追及、緻密な梱包仕様作成と充填率の最適化実施。

電子部品の保管・供給

物流・品質管理・加工機能を備えた最適な環境施設において、受注から配送までの一貫物流を提供。

かんばん対応の倉庫業務

物流情報をトータルに管理・運営、「安全、早く、安く、確実な物流」を構築し、トヨタグループへの「かんばん」納入を展開。

輸出入関連・港湾業務

デリバリー情報処理や通関、保管、輸送の一貫物流を担い、豊田通商の海外物流をサポート。
通関業務や物流関連業務のアウトソーシング。

福祉用具などのレンタル業務

福祉レンタル器具の受注から発注、配送、引き取りをはじめ、器具の洗浄、消毒、保守、梱包、保管などを一括して実施。

国際複合一貫輸送事業(NVOCC)

最適な輸出入/海外間物流の提案 と 国際複合一貫輸送の提供。

豊田通商海外拠点物流支援

タイ、インドネシア、中国、香港、南アフリカに現在9名の駐在員を派遣。
今後、派遣人員を増やし、業務範囲の拡大を計画中。