ロジスティクス・インサイト「インタビュー」

豊田通商株式会社
物流部統括企画室 室長
千野 公弥 氏

第二回目は、豊田通商㈱ 物流部統括企画室 室長 千野公弥 氏に伺います。同社は、トヨタグループの世界戦略を支える商社として、常に先端的なSCMに基づく調達・供給を求められ、それに欠くべからざる高度な物流管理・オペレーションを担ってきました。
近年は、エネルギー資源領域から、衣料・食品といった川下の生活消費財まで、バリューチェーンを網羅する総合商社として戦略的投資を加速させており、求められるロジスティクス機能は多様化しています。


景気減速が長期化する可能性が指摘されていますが、貴社における物流の経営上の位置づけや方針について変更はありましたでしょうか。また、お考えをお聞かせください。

現下の経済状況が製造業に与える影響として、大きく2つ挙げられると考えています。 「国内製造拠点の、海外シフト」と、「海外拠点の、海外間でのシフト」です。 前者についてはコストダウン追求という側面もありますが、別の要素として例えば中国で 急拡大する国内需要に応えるため、同国へのリソース重点配置を求められているという背景があります。

後者の「海外間シフト」は、既存の中国における製造拠点を、さらにコスト低減が可能なASEAN 諸国へ移管しようという動きです。

具体的にはこうした状勢が、日本からの自動車部品物流の減少傾向となって現れています。トヨタグループは、現地調達比率を高めようという方針を打ち出しています。当社では、その施策に連動して、アジア域内の生産拠点を「マルチサプライ・ネットワーク」で繋ぐ仕組みを、早急に構築していきます。

また、海外への拠点移行が進行すれば、製造業各社は、それに伴って拡大するOUT-OUT、OUT-IN物流に対応しなければなりません。その中心的なサプライチェーンプレイヤーは、 商社か物流専業会社です。現在、国内で当社とお取引があるお客様からは、国内外一括して物流を委託したい、という強い要望を感じています。メーカーはますます 商社に対して商物一体の利便性を求め、商社サイドがその期待に応えられない場合は、商流までも失う事態が懸念 されるほど、グローバル物流に対応できる能力・機能が求められていると考えています。

もともと、物流機能は総合商社のコア機能です。効率的な資源配置と、ロジスティクスの構築力・企画力をよりいっそう蓄えて、顧客ニーズに応えていきたいと思っています。

そのような外部環境変化のなかで、物流部としてはどのようなリソースへ重点投資される方向性でしょうか?

最も重要なのは、『人材への投資』だと認識しています。
例えば、当社が強みを発揮できる領域の一つとして、天然資源分野が挙げられます。豪州におけるガス開発権益やレアアース供給でのアライアンスなど、営業部門が次々とグローバル案件を成約するなか、そうした資源をどのようなルートで、どんなインフラを使って日本へ運ぶのか、といったロジスティクスの設計・運用、そして採算管理は、我々物流部の技量に託されています。それを遂行するには、もちろん世界中どこにでも赴き、ローカルスタディを実施し、コミュ二ティを開拓し、ロジスティクスネットワークとして組み上げる・・・と、いわゆる『商社マン』の仕事と何ら 変わりません。これを担える「グローバル人材」の増強が物流部の目下喫緊の課題です。

こうした考えから、我々が「グローバル人材」として一番期待する能力は海外のステークホルダーを巻き込んだ 『ネットワーキング・インテグレーション能力』です。語学力はOJTでも身につくものですが、SCM企画力やグローバルな 感覚や思考を持ち合わせた人材確保は容易なことではなく、ビジネスのグローバル化との時間の闘いとなっています。

つぎに、貴社が物流パートナーに求める機能やサービスについて、重視される点をお聞かせ下さい。

国際物流への対応力が必須です。
上述したように、特にアジア圏内でのマルチサプライ体制は複雑化していますから、我々の求める地域で、拠点・輸配送ネットワークを既に構築している日系3PL企業がサービス品質・信頼性から望ましいと考えています。もちろん、ローカル企業とのコスト競争力を保持していることは大前提です。一方で、日系企業の少ない新興国では、やはり国際フォワーダーや ローカル企業にアドバンテージがあります。 物流パートナーとしての決定要因は、

ネットワーク力
コスト妥当性
品質

の3点です。これらのバランスを測りながら、案件ごとにジャッジする方針です。


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物流子会社が有するべき機能や、戦略の方向性とは?


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