ロジスティクス・インサイト「決算概況」

2011年4月-12月期 決算概況
上場企業決算概況と貨物輸送,
倉庫セクターのトレンド分析

発行日 2012/03/01

上場企業の決算実績をもとに、陸運/倉庫・運輸セクターのトレンド分析や産業界の動向など、
経営に役立つ見地で切り込んだ定量分析レポートをお届けします。

全企業の売上高成長率は1.0%、営業利益は14.4%減
増収増益6業界のうち5業界をサービス業が占める
そのうち貨物輸送・倉庫セクターは増収(6.6%)・増収(5.0%)と、
成長基調を維持
上場企業 業種別業績動向

・金融、公共サービス(電気・ガス)、
  消費者サービス(娯楽等)を除く
・増減率は業界ごと売上高の加重平均

【図表2】 売上高・営業利益増減率 詳細(前年同期比)

業種 社数
(*1)
売上高
(FY11 4-12月)
営業利益
(FY11 4-12月)
増減率
(%)
実績
増減率
(%)
実績
旅客空運 14 5.13 8,944,714 11.13 1,099,000
旅客陸運 29 -1.68 3,735,925 -1.64 192,668
海運 27 -5.34 3,980,532 -110.87 -36,591
貨物輸送・
倉庫 (*2)
47 6.66 3,444,303 5.02 166,942
建設・不動産 294 2.80 24,689,626 0.52 1,114,392
エネルギー 28 14.60 18,327,415 25.16 938,349
素材・
素材加工
372 1.35 47,040,985 -21.20 2,350,238
機械・
電気製品
415 -3.64 66,878,229 -33.60 2,482,155
輸送機械 131 -7.20 49,177,203 -43.15 1,590,591
食料・
生活用品
(*3)
180 3.29 17,794,866 -0.16 1,092,683
医薬・バイオ 91 4.39 8,054,451 -1.24 1,242,888
中間流通 191 7.55 74,311,164 6.95 1,347,673
小売 210 -0.63 30,377,037 14.73 1,287,514
外食・中食 62 1.31 2,061,594 14.52 104,073
広告・
情報通信
サービス(*4)
269 2.18 26,556,971 -2.22 3,449,666
全体 2,360 1.00 385,375,015 -14.39 18,422,241
          (百万円)
実質GDP寄与度

11年4-12月期の上場企業(全業界)の売上高成長率はプラス1.00%、営業利益ベースでは14.39%と大幅な減少となりました(【図表1】【2】)。

欧州債務危機に起因する世界的景気減速とその行く末に対する不安心理が引起こす需要減退やタイ洪水・円高等が、企業業績を圧迫している実態が鮮明になっています。

特に製造業では、「輸送機械」が売上高7.2%減・営業利益43.15%減、「機械・電気」は売上高3.64%減・営業利益33.60%減と大幅な減収減益が継続しています。

また、「海運」(売上高5.34%減、営業利益110.87%減)は、需給バランスによって形成される価格が大きく収益を左右する構造であり、今年度は欧州航路を中心とした大幅需要減による運賃下落が止まらず、大手各社は四半期毎に赤字を累積、通期も営業赤字の予想を発表しています。

一方で、増収増益となった業界は6業界です。原子力代替エネルギー需要が増大したことによる「エネルギー」及び、「建設不動産」は、今後数期に亘り震災からの復興需要を享受するものと推測されます。

非製造業では、商社・卸業(「中間流通」)が、7.55%増益と好調です。総合商社ではかつてのトレーディング事業から、事業投資モデルへと軸足をシフトし、海外資源権益やIPP・水道などインフラ事業出資に注力してきました。今期は、そうした投資配当が、過去最高となると予測されています。

また、11年度第一四半期以降3期連続でプラスを維持している内需(【図表3】)の支えにより、典型的な内需型産業である「小売」「外食・中食」、そして「貨物輸送・倉庫」は堅調に推移しています。


企業業績の稼ぎ手が交代しつつあるのか?
貿易収支と地域別輸出増減率

こうした業績概況は、日本の企業業績の稼ぎ手が、鉄鋼や化学などの素材産業及び電気・輸送機械といった、外需を強みとして成長を遂げてきた輸出型製造業から、内需中心の非製造業へと転換しつつある兆しの一つではないか、との推測を想起させます。

2011年に貿易収支が赤字に転じた事象は、将来的な経常黒字継続性への不安とともに、驚きをもって受け止められました。

12年1月の速報値によれば、輸出から輸入を控除した貿易収支は1兆4,750億円と、単月で過去最大に落込み4ヶ月連続の赤字となっています(【図表4】)。

これは輸出の減少だけではなく、原発停止に伴うエネルギー需要急増による輸入伸長が大きな要因となっており、12年1月の輸入増加品目は、

(1)液化天然ガス(+74.3%、前年同期比)
(2)原粗油(+12.7%)
(3)石炭(+26.5%)でした(*)。

12年下期には、海外景気復調による輸出増を見込む指摘もなされていますが、今後も、貿易赤字が継続するリスクは排除できません。その大きな要因の一つが、生産拠点の海外シフトによる産業空洞化です。競争優位な技術力をもつ企業は、成長期待の大きい新興国を中心に投資を増強させ、国内設備投資を控える傾向にあります。

こうした現象が加速化すれば、輸出の回復と持続的成長に楽観的な期待をもつことは難しく、経済収支構造が変容していくことが懸念されます。

増収企業の顔ぶれ

11年度4-12月に増収を達成した上位企業をみると、消費・生活材関連、震災復興をうけた資源・建設業がランクインしました。

1.生活産業である食品や医薬関連業、スマートフォン関連:

親会社グループの卸3社統合も奏功し業界首位となった三菱食品(4位)や医療機器大手の日立メディコ(8位)工作機械大手のオークマ(7位)・森精機製作所(10位)

2.復興需要に支えられた建設関連やエネルギー業界:

電力不足の影響で、発電所や電力会社向けの納入が急増した東京産業(3位)や空調工事大手の大氣社(2位)

3.事業再編や同業買収による大幅増収となった、陸運・フォワーダー:

郵船ロジスティクス(1位)や、M&Aに加え小売・生活関連のセンター運営が好調に寄与した日立物流(5位)

なお、オークマはアジア中心に比較的堅調な需要取込みが継続しており、同社の海外セグメント売上は46%に達しています。 また、大氣社も5割を超える売上を海外で稼ぎ、内需に加え海外の市場確立に成功している企業は、成長に力強さが感じられます。

【図表5】

業種 概要 売上高
(FY11 04-12)
売上高増減率(%)
1 郵船ロジスティクス 運輸サービス (国際貨物フォワーダー) 232,280 90.91
2 大氣社 建設・不動産 (空調・衛生工事大手) 138,282 78.49
3 東京産業 中間流通 (電力会社向け機械卸) 183,528 71.98
4 三菱食品 中間流通 (酒類・食品総合卸) 1,610,212 53.58
5 日立物流 運輸サービス (3PL首位級の貨物輸送業) 414,232 51.66
6 アルコニックス 中間流通 (非鉄卸、レアメタルに強み) 174,466 49.53
7 オークマ 機械・電気製品 (工作機械) 101,121 45.48
8 日立メディコ 医薬・バイオ (医療用電子機器) 103,117 42.12
9 アサヒホールディングス 素材・素材加工品 (貴金属リサイクル・精錬) 113,116 41.50
10 森精機製作所 機械・電気製品 (工作機械) 110,311 40.77

・金融、公共サービス(電気・ガス)、消費者サービス(娯楽等)を除く
・FY11 04-12累計売上高が1,000億円以上で増益の企業対象

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