ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

物流コスト削減の視点


結果・提言

そこで取り組まなければいけないのが、単に『値引きを依頼する』コスト削減策ではなく、ルールと仕組みを改良することで回転を上げ、生産性を高めた結果のコスト削減施策となります。前述にある取り組みを第1段階『パートナー依頼型』、第2段階『社内改善型』とするならば、第3段階は『連携改善型』と位置付けることができます。『SCM』というような大上段からの話ではなく、前後工程のパートナーや得意先の手の届く範囲での取り組みになります。

第1段階 『パートナー依頼型』:単価の見直し
第2段階 『社内改善型』:拠点集約及び輸配送・作業・保管の効率向上
第3段階 『連携改善型』:パートナー&得意先、他社と連携した改善

なお、『連携改善型』で大きな成果を出すために必要な視点は下記5点になります。

1. 標準化

『標準化』とは業務手順を統一し、誰が作業を行っても同じ手順で行うことで業務品質も同様レベルで実行できるようにフォーマット化することです。
そのために、まず既存サービス及び業務の必要性を再検証し、継続する業務とやめる業務を区分する必要があります。この時、既存のサービスや業務をやめるには社内の凝り固まった考え方を排除しなければなりません。今までの延長線上では得られない成果を狙う時に、既存の概念で考えていては全く無意味です。自社の枠を超えた発想と決断が必要になります。この発想の転換は企業や担当者にとって苦痛を伴いますが、必須プロセスであることは間違いありません。

継続する業務を絞れると、次は業務を『定型』と『非定型』に区分することです。定型とは標準化された業務のことで、非定型は標準化されていない属人的な業務を指します。定型化された業務は一層の生産性向上を図ることが次のステップになります。非定型業務はいかに定型化するかが次のステップであり、我々は物流業務の80~90%は定型化することが可能と考えています。
標準化はその他の視点においても重要な概念として活用できます。標準化することが内製化や汎用化、共同化を進める前提となります。

2. 内製化

『内製化』は外部に委託した業務の中で、自社内で差配することでメリットがあるもの及びノウハウを保有することが有効であると考えられる業務を自社オペレーション化することです。そのためにはアウトソーシングした物流業務をすべて棚卸して、委託領域と自社領域を精査する必要があります。中には自社の物流コストやサービスの根幹を左右する機能まで外部委託している場合があります。
アウトソーシングを継続することでコストメリットがあるのか?物流サービスをノウハウとして社内に保有する必要がないのか?という視点で内製化を考えてみてください。

3. 汎用化

『汎用化』は業務の特殊性を排除することで、代替え案の選択肢を増やすことです。まず、自社の物流業務の中で世間一般の業務と異なり、特別な仕様を物流企業に求めている部分を抽出してください。特別な機能は受託側からすると柔軟な対応の弊害となります。車輛の仕様、ドライバーの指定、作業内容、保管方法など注文を付けるほど受託側の負荷となり、その対応が可能なスペシャルな人や物が必要になるということです。
本当に必要な要求事項とそうでないものを客観的に見直してみてください。限定する条件を除外することで選択肢は広がり、新たなコスト削減原資が見えてきます。

4. 一体化(協調)

委託している業務内容を正確に理解して、何がパートナーの効率向上に寄与するのかを改めて考えてみてください。荷主として業務に対する要望を一方的に伝えるのではなく、パートナーに歩み寄ることで改善の視点が変わります。どのようにすれば作業のしやすさ、運びやすさ、積みやすさが向上するのかをパートナーに確認して、自社で取り組める改善は無いか見直してみてください。

物流コスト削減・イメージ図
5. 共同化

『共同化』は他社の荷物や業務と自社を合わせて考えることで、効率の向上を図ることです。何十年も前からキーワードになっていますが、昨今再燃してきている取り組みです。自社単独で限界が見えてきているのであれば、他社と一緒に物を動かす思考を持ってみてください。
共同化の切り口には下記の視点があります。

・商品の共通性(納品先・荷物・荷姿・エリアなど)でセンター、車を共同利用
・自社と波動の異なる荷物でセンター、車の共同利用を検討
(春夏・秋冬の季節波動、日中&深夜の空き利用、国内生産品&海外輸入品の季節入替タイミングの相違など)

情報システムを活用して情報の機密性が守られることを前提として、自社の枠を超えることができれば、単独では検討できなかった選択肢が増えることになります。

最後に・・・

今までのコスト削減の進行や経営環境悪化で物流コスト削減に求められる動きが高度化しています。着手するテーマも、今までタブー視してきた領域である『営業サービスの取捨選択』『売上評価主義の弊害』『管理会計ルールの弊害』『在庫責任の問題』『品揃えと物流業務負担の問題』『顧客の精査』『費用按分ルールの見直し』『古い慣習の弊害』『社内部門間の壁』など広範囲に及ぶことになります。

しかし、その未着手領域に着手できる企業こそが、正に『競争優位の物流』を構築することになります。未着手のものほど実行にパワーを必要としますが、やり遂げた時の成果は多くのものが期待できます。

パートナーや得意先及び社内を結び付けて問題を捉え、社内の収益改善に貢献できるのはロジスティクス機能しかないのです。単体から連携(社内他部門・パートナー企業・異業種・同業他社など)という視点でロジスティクスを俯瞰したうえで改善を実践できる調整力と強力な実行力が物流部門に求められているのです。

以上

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【発行日】

2012/4/13


【執筆者】

渡辺 庸介

ライン統括本部 次長




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