ロジスティクス・インサイト「決算概況」

2011年度通期 決算概況

発行日 2012/06/07

上場企業の決算実績をもとに、陸運/倉庫・運輸セクターのトレンド分析や産業界の動向など、
経営に役立つ見地で切り込んだ定量分析レポートをお届けします。

日本の製造業 海外生産比率は18%、輸送機械は4割

日本の製造業現地法人における生産比率は、1990年以降上昇の一途を辿っており、2010年度(2011年7月調査)では、国内全法人数対比で18.1%になりました。

業種別にみると、輸送機械が最も高く39.2%、次に情報通信機器28.4%となっています。特にこの2業種については、海外・本国拠点間で工程間分業が発達していること、日本からの技術移転が進み新興国を中心に技術水準がキャッチアップしてきたこと、などを特徴的な要因として、生産移管が進行したものと推察されます。

地域ごとの実績では、アジア地域が全世界の5割近くを占めており(【図表7】)、ここで、当該地域における日本の製造業現地法人の生産活動について調べてみます。

【図表6】日本の製造業 業種別海外生産比率(%)
(国内全法人ベース、FY10実績)

グローバル物流・日本の製造業 業種別海外生産比率

・出所:「海外事業活動基本調査(11年7月調査)」
経産省より当社作成
・国内全法人ベースの海外生産比率=現地法人(製造業)
売上高/現地法人(製造業)
売上高+国内法人(製造業)売上高×100.0

【図表7】日本の製造業 地域別海外売上高

グローバル物流・日本の製造業 地域別海外売上高


アジア地域 現地調達・現地販売が各々、6割に達する

【図表8】アジア地域 日系現地法人(製造業)の生産活動
(販売先と調達先)販売総額49,108調達総額34,048(単位:10億円)

グローバル物流・アジア地域 日系現地法人(製造業)の生産活動

アジアにおける日本の製造業現地法人の生産活動を紐とくと、アジア域内からの調達が58.8%、そうして生産された製品の販売先は、全体の59.5%がアジア域内となっています(【図表8】(*4))。
既に、現地調達・現地販売が共に6割に達している実態からは、急速に密度を深めつつあるグローバル生産体制をうけて、現地オペレーション効率化が次なる重要な経営KFSになるものと推測されます。それを支えるために、高度であり且つ低廉なロジスティクス機能が求められることは間違いありません。


物流各社は需要サイドから見つめたマーチャンダイジングを

【図表9】(参考)日本の物流業 主なIN-OUT M&A(2011年以降)

グローバル物流・アジア地域 日系現地法人(製造業)の生産活動

【図表10】貨物輸送・倉庫セクター
海外セグメント ランキング

売上高合計
FY11
連結売上高に占める
海外売上高の割合
FY10 FY11
近鉄エクスプレス 264,403 58.31 58.71
郵船ロジスティクス 309,004 52.37 73.22
アルプス物流 70,248 23.94 26.55
日本通運 1,628,027 21.62
日新 179,059 18.52 13.87
日立物流 553,934 14.89
サンリツ 16,256 14.63 12.94
エーアイティー 14,647 13.83
三井倉庫 107,344 12.85 10.74
日本梱包運輸倉庫 130,717 12.26
日本ロジデム 36,086 12.19 12.32
宇徳 47,327 10.68
ヤマトホールディングス 1,260,832 1.49 1.47

(*)「ー」は未発表
・旅客輸送、海運を除き、データ取得時点で海外セグメント
を公表している企業

こうした荷主企業の海外生産シフトに伴って、日本の物流各社にとっての海外進出・展開戦略は欠くべからざるものとなっていますが、グローバルインフラを一から構築するのは容易でなく、ネットワーク共同利用や一気取得を目途としたIN-OUTのM&Aが、活発化してきました (【参考図表9】)。

現時点で海外セグメントを公表している物流企業(海運・空運を除く)は国際フォワーダーを中心に13社です。

こうしたOUT-OUTを主要サービスと位置付ける国際フォワーダーなど輸送各社は、更なるネットワーク拡充を目指し、海外パートナーとの提携を今後も強力に推進するものと予想されます。また、OUT-IN物流を志向する企業は、上述のフォワーダー各社や自社パートナーとの連携によって、小売センターや最終消費者までの複合一貫輸送構築が望まれます。

一方、ドメスティック志向型の物流企業にとっては、 自社の強みを発揮できる差別化サービス創出が急務です。

差別化の方向性としては、
①「冷凍冷蔵輸送」など、独自サービスに特化し極める『深耕型』、そして、
②特定地域における「ユニヴァーサル・プロバイダー」を目指す『地域特化』と、大きく2つ考えられます。日本の製造業は、海外生産拡大に生き残りをかけており、物流各社にとっては、あらためて需要サイドから自社の成長市場を見極めたマーチャンダイジングが求められています。

以上

※注記
・本稿における業界区分及びデータ提供はUzabase(株)により、図表は当社作成
(*1) 2011年度通期決算を発表している企業のうち(2012年5月27日現在)、2012年度業績予想を公表している企業を対象とした(2,570社)。なお金融、公共サービス(電気・ガス)、消費者サービス(娯楽等)は除いた。
(*2) 「貨物輸送・倉庫」には、貨物輸送及び保管を主業とする企業を抽出する目的で、陸運・倉庫運輸セクターに属する
①貨物輸送業②港湾運送③倉庫業者、及び空運セクターに属する④国際フォワーダーを含めた。
(*3) 「広告・情報通信サービス」には、E-コマース運営企業を含む。
(*4)調査対象は以下の通り:・金融・不動産業を除く全業種、資本金1億円以上、従業者50人以上、海外現地法人を有する、という条件を満たす日本企業(本社企業)対象
・かつ、当該本社企業が有する海外現地法人のうち、期末現在で従業員50人以上、本社企業の直接・間接出資分を合わせた出資比率が50%以上の現地法人対象(4,800社)

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