ロジスティクス・インサイト「決算概況」

2011年度通期 決算概況

発行日 2012/06/07

上場企業の決算実績をもとに、陸運/倉庫・運輸セクターのトレンド分析や産業界の動向など、
経営に役立つ見地で切り込んだ定量分析レポートをお届けします。

全業界の売上高成長率は2%、営業利益は7%減
・非製造業は 増収増益を達成
・貨物輸送・倉庫セクターは需要取込に奏功、増収(7.0%)
・増益(8.4%)と好調

【図表1】上場企業 2011年度業種別業績動向
(前年同期比)

グローバル物流・上場企業 2011年度業種別業績動向

・金融、公共サービス(電気・ガス)、
  消費者サービス(娯楽等)を除く
・増減率は業界ごと売上高の加重平均

【図表2】売上高・営業利益増減率 詳細(前年同期比)

業種 社数
(*1)
売上高(FY11) 営業利益(FY11)
増減率(%) 実績 増減率(%) 実績
(百万円)
旅客空運 29 -0.16 12174887 6.32 1276285
旅客陸運 4 4.90 1,714,924 33.57 120,961
海運 30 -3.30 5344711 -113.94 -50641
貨物輸送・
倉庫(*2)
54 6.99 7,789,043 8.42 308,215
建設・不動産 329 3.50 38,628,071 5.11 1,936,129
エネルギー 32 14.05 30,845,043 28.58 1,648,946
素材・
素材加工品
383 1.24 52,536,671 -18.79 2,777,806
機械・
電気製品
441 -2.11 93,380,459 -20.51 3,906,274
輸送機械 135 -0.99 75,408,886 -17.81 2,992,069
食料・生活用品 220 2.39 28,735,214 -1.82 1,303,362
医薬・バイオ 108 3.71 11,576,811 -4.16 1,504,601
中間流通 201 6.75 87,500,306 5.99 1,386,802
小売 223 -0.02 42,535,947 11.44 1,769,269
外食・中食 79 0.70 3,405,504 12.33 175,397
広告・情報通信
サービス(*3)
300 1.79 34.076.043 -0.50 3,594,506
全体 2,568 2.06 525.652.520 -7.33 24.649.981
【図表3】貨物輸送・倉庫セクター 増収率ランキング(FY11)
企業名 売上高 営業利益
(百万円)
売上高
増減率
営業利益
増減率
(%)
郵船
ロジスティクス
貨物輸送
(国際FWD)
309,004 6,272 92.2 26.8
日立物流 貨物輸送 553,934 23,131 50.02 45.1
宇徳 海運 47,327 4,242 30.8 231.7
三菱倉庫 貨物輸送 203,697 12,533 15.8 3.0
センコー 貨物輸送 270,361 8,274 12.2 35.7
増収増益企業のみ抽出

【図表4】上場企業 業績推移と今期予想

グローバル物流・上場企業 業績推移と今期予想

11年度通期での上場企業(全業界)の売上高成長率はプラス2.06%、営業利益では7.33%マイナスと減益になりました(【図表1】(*1))。
製造業全体で13.4%マイナスと大幅減益となったことが、全産業での収益を押し下げています。昨年3月に発生した大震災を端緒に、欧州債務危機や史上空前の円高など、幾重もの外的打撃が日本経済を襲いました。特に機械・電気、輸送機械・素材といった輸出型産業を 中心に、製造業の収益構造が圧迫された1年でした。

一方、非製造業については、今期、欧州航路を中心に大幅需要減が響き赤字転落となった「海運」を除くと、増収(3.7%)増益(3.6%)を達成しています。
非製造業を牽引したのは、小売、中間流通(商社)です。高値で推移した原油価格など資源需要と、海外権益事業等への投資配当を追い風に、収益を伸ばしました。

また、内食ブーム取込みなど消費者の生活に密着したプラットフォーム型事業展開が着実に成果を上げている、セブン&アイホールディングスとイオンの2強が過去最高益を達成し、小売業界の増益に大きく寄与しました。
12年1~3月の実質GDP(速報値)は前期比1.0%増(前期比年率4.1%)の高成長となりましたが、主な要因は、耐久消費財購入拡大などに起因する個人消費の底堅さと、本格化した復興工事です。

こうした内需を追い風に、「小売」「外食・中食」、そして「貨物輸送・倉庫」は堅調に推移しています。

貨物輸送・倉庫セクターは7%増益と、エネルギーセクターに次ぐ伸びを記録しました。これは、親会社である日本郵船との海外物流事業統合効果が著しい郵船ロジスティクスと、バンテックの買収が寄与した日立物流が、業界全体の数値を押上げています。

とはいえ、セクター所属54社のうち、約8割の43社が増収を達成しており、災害復興や消費意欲復調による需要に同期した成長を果たしたと言えましょう。
企業業績全体の推移をみると(【図表4】)、2008年度のリーマンショック後、2010年度にかけて回復してきたトレンドは前期でいったん崩れましたが、今期については業績立ち直りや大幅増益を見込む企業が相次いでおり、回復基調が鮮明になっています。


過去最高益を達成した企業は

では、円高や自然災害など過酷な外部環境のなかでも、2011年度通期で過去最高益(営業利益)を達成した企業はどのような顔ぶれでしょうか。
前期、金融・公共サービス・エネルギー産業を除く2,570社のうち、過去最高益となった企業は1割を超え288社となりました。

【図表5】

企業名 業種 概要 売上高(FY11) 営業利益
(FY11)
(百万円)
営業利益増加率
(前年同期比率,%)
ソフトバンク 広告情報通信 通信インフラ 3,202,435 675,283 7.33
KDDI 広告情報通信 通信インフラ 3,572,097 477,647 1.22
日本たばこ産業 食料生活用品 飲料・たばこ製造 2,033,825 459,180 39.70
セブン&アイ・ホールディングス 小売 総合・食品小売 4,786,344 292,060 20.02
ファナック 機会・電気製品 産業用機械製造
(多関節産業用ロボット等)
538,492 221,834 16.90
イオン 小売り 総合・食品小売り 5,206,131 195,690 13.54
ヤフー 広告・情報通信 インターネットメディア 302,088 165,004 3.38
大塚ホールディングス 医療・バイオ バイオ・医薬品製造 1,154,573 148,661 26.52
ダイハツ工業 輸送機会 輸送用機械製造 1,631,320 115,462 11.62
大和ハウス工業 建設・不動産開発 不動産開発・流通 1,848,797 114,955 31.08
東テレ 素材・素材加工品 繊維、合成繊維 1,588,604 107,721 7.63
アサヒグループホールディングス 食料・生活用品 飲料総合 1,462,736 107,190 12.42
全日本空輸 運輸サービス 航空輸送 1,411,504 97,022 43.08
大東建託 建設・不動産 不動産開発
(賃貸アパートマンション)
1,087,128 81,975 11.13
味の素 食料・生活用品 食料製造、バイオ 1,197,313 72,584 4.63

・金融、公共サービス(電気・ガス)、消費者サービス(娯楽等)、エネルギーを除いたランキング
・売上高が300億円以上で営業利益が大きい順

ランクインした企業をみると、増益の背景としていくつかのキーワードが浮かんできます。

(1)スマートフォンの急速な普及による通信料拡大などが寄与した通信各社
(2)PBブランドの市場開拓・浸透により、コンビニ業績が過去最高益となったセブン&アイホールディングスなど小売大手や、
食品・飲料など生活密着型産業
(3)本格化した震災からの復興工事による建設・住宅需要
(4)高い製品競争力で連結売上の76%を海外で稼ぐファナックや、新興国での販売を拡張した日本たばこなど、海外需要を確立している企業

逆風下でも、成長分野でのポジショニング確立に向けた技術開発努力、さらに、コスト削減や構造改革など、企業戦略は様々ですが、その成否による収益力格差が鮮明になっています。

とりわけ、新興国を中心とした海外経済の拡大ペースが日本経済の拡大を上回っているなか、製造業が消費地に近い拠点を志向することが時代の趨勢となり、海外生産シフトが拡大すると思われます。こうしたトレンドに機動的に呼応した企業運営が、物流各社には喫緊の課題であると考えられます。ここからは、日本の製造業の海外生産の実態について観察してみます。

※注記
・本稿における業界区分及びデータ提供はUzabase(株)により、図表は当社作成
(*1) 2011年度通期決算を発表している企業のうち(2012年5月27日現在)、2012年度業績予想を公表している企業を対象とした(2,570社)。なお金融、公共サービス(電気・ガス)、消費者サービス(娯楽等)は除いた。
(*2) 「貨物輸送・倉庫」には、貨物輸送及び保管を主業とする企業を抽出する目的で、陸運・倉庫運輸セクターに属する
①貨物輸送業②港湾運送③倉庫業者、及び空運セクターに属する④国際フォワーダーを含めた。
(*3) 「広告・情報通信サービス」には、E-コマース運営企業を含む。
(*4)調査対象は以下の通り:・金融・不動産業を除く全業種、資本金1億円以上、従業者50人以上、海外現地法人を有する、という条件を満たす日本企業(本社企業)対象
・かつ、当該本社企業が有する海外現地法人のうち、期末現在で従業員50人以上、本社企業の直接・間接出資分を合わせた出資比率が50%以上の現地法人対象(4,800社)

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