ロジスティクス・インサイト「決算概況」

2012年度上期 決算概況

発行日 2012/12/28

上場企業の決算実績をもとに、陸運/倉庫・運輸セクターのトレンド分析や産業界の動向など、
経営に役立つ見地で切り込んだ定量分析レポートをお届けします。

全業界の売上高成長率は3%増、営業利益は2%減益
貨物輸送セクターは増収(3.8%)・増益(6.0%)を堅持

【図表1】上場企業2012年度上期業種別業績動向
(前年同期比)

・金融、公共サービス(電気・ガス)、
 消費者サービス(娯楽等)を除く上場企業
・増減率は業界ごと営業利益の加重平均

【図表2】売上高・営業利益増減率 詳細(前年同期比)

業種 社数
(*1)
売上高(FY12上期) 営業利益(FY12上期)
増減率(%) 実績
増減率(%) 実績
旅客空運 29 4.26 6,098,667 24.49 839,700
旅客陸運 14 3.57 2,956,395 16.26 236,764
海運 31 4.97 2,816,073 297.00 40,313
貨物輸送
(企業物流)
29 3.76 1,417,713 5.99 51,232
貨物輸送
(宅配・
引越)
2 0.84 645,565 -18.59 20,626
倉庫 16 6.49 433,760 -4.41 23,709
建設・
不動産
333 7.53 18,658,672 11.86 819,901
エネルギー 34 1.00 14,830,735 -59.31 391,658
素材・
素材加工
395 -3.19 30,952,991 -36.18 1,161,051
機械・
電気製品
456 -2.28 45,882,054 -15.82 1,784,933
輸送機械 135 19.54 40,775,924 128.25 2,413,607
食料・
生活用品
222 0.94 15,640,733 0.36 849,855
医薬・
バイオ
111 7.49 5,863,578 -8.60 781,289
中間流通 206 -1.19 51,887,491 -25.58 769,672
小売 228 1.65 21,072,890 10.81 782,082
外食・
中食
82 5.09 1,775,178 -7.73 80,291
広告・
情報通信
(*3)
333 4.35 19,214,991 1.36 2,408,480
全体 2,656 2.84 280,923,410 -1.96 13,455,163
(百万円)

2012年度上期の上場企業(全業界)の売上高成長率はプラス2.84%、営業利益では▲1.96%と減益になりました(【図表1】(*1))。

製造業では、エネルギー・電機・鉄鋼の不振が大きく、製造業全体で▲3.7%の減益となりました。春以降、原油価格が下落基調に転じたことが、特に石油元売各社の収益を大きく圧迫しました。

また、国際競争激化と円高といった市況悪化に加え、相次ぐ増税施策によって消費意欲が萎縮しており、機械・電気、素材といった日本を代表する産業の収益を直撃しました。

補助金効果が販売を押し上げた輸送機械は、約20%増収となり、営業利益は1.3倍に達しました。自動車販売台統計では、リーマンショック以降震災前までの平均販売台数は402万台と推計されますが、補助金制度奏功によって59.1万台が追加的販売となった格好です(*2)。

一方、非製造業は、2%増収、0.2%増益となりました。最も伸びが大きかったのは海運です。昨年度赤字転落した海運各社は、アライアンスに基づく航路再編や配船合理化を進め、黒字転換を果たしました。然しながら12年度通期に関しては、欧州航路需要の一層の冷え込みが予測されるなか大型船竣工も迫り、注視が必要です。

昨年度、資源高による好況を謳歌した総合商社については、特に鉄鉱石・原料炭価格下落が響き、一転、減収減益となりました。新興国需要を見込んだ食品分野での大型M&Aや、シェールガスなどの新成長分野への権益投資など、今後は収益源となるポートフォリオ再構成が進むものと思われます。

また、昨年度は過去最高益が相次いだコンビニでも、大手5社中4社が減益となりました。値引き競争を抜け出せず不振が続くスーパー各社とともに、手堅いと思われた内需産業に陰りが見えています。


大幅増益を達成した貨物輸送セクターの顔ぶれは

【図表3】貨物輸送(企業物流)セクター 増収ランキング
(FY12上期)

企業名 売上高
(*1)
増収幅 営業利益
(百万円)
売上高
増加率
営業利益
増加率
(%)
1.日本梱包運輸倉庫 69.814 8,894 6,716 14.60 90.47
2.センコー 144,412 17,575 4,658 13.86 22.55
3.トランコム 42,978 4,396 1,874 11.39 10.89
4.名鉄運輸 46,139 4,165 1,266 9.92 -20.33
5.SBSホールディングス 62,847 4,825 1,333 8.32 156.35
6.アルプス物流 35,880 1,856 1,911 5.45 8.89
7.セイノー
ホールディングス
251,672 12,356 5,232 5.16 5.44
8.丸全昭和運輸 43,658   2,257 0.21 2.97

・売上高300億円以上(上期実績)、増収企業

こうした中、貨物輸送(企業物流)セクターは、増収(3.76%)・増益(5.99%)を果たしました。そのうち、売上高300億円以上(上期)の企業対象に増収率をみると、特に、日本梱包運輸倉庫、センコー、セイノーHDが業界収益を押し上げています(【図表3】)。 以下トップ8社の増収要因を探ると、成長の牽引ファクターとして大きく3つ、指摘できます。


(1)輸送機械の好況を背景に収益伸長
・完成車・部品輸送が主力の日本梱包運輸(1位)
・得意の自動車部品・スマートフォン関連の物量増が寄与したアルプス物流(6位)
・事業セグメントのうち、自動車販売が3割を占める
セイノーHD(7位)

(2)M&Aによる子会社化が寄与
・流通商社など集中的に国内M&Aを進めるセンコー(2位)
・インドの物流会社買収に踏み切り、 IN-OUT戦略を具体化させたSBSホールディングス(5位)

(3)独自サービス深耕による顧客基盤拡大
・売上の過半を占める求貨求車が約13%増、センター受託事業も11%増加し過去最高の売上高を達成したトランコム(3位)

生産基盤の弱体化が懸念される製造業に加え、旅客・観光といった一部サービス業を除いた内需産業にすら成長ブレーキがかかりつつある今上半期は、荷主企業の業量拡大をベースとしながらも、資金力を生かした投資であったり、差別化サービスの組織的展開など、独自色を生かした企業運営が成果に結実した物流企業各社が、上位にランキングしたものと感じます。

2012年度通期業績も減速の見通し

すでに今期も残り一四半期を残すのみですが、産業界は2012年度通期についてどのような見通しを予測しているのでしょうか。今年度期初に営業利益予想を公表した1,409社を対象に、その後の修正値を業界ごとに集計したところ、15業界中14業界で業績下振れを予測しており、企業の収益減速の構図が鮮明になりました。

期初時点での予想営業利益22.7兆(全産業)は、約3兆円下降し19.7兆円の予測となり、業績下方修正が相次いだことが判ります。また、下振れ額のうち製造業が8割を占め、特に機械電機・素材が6割と、大きく影を落としています。

【図表4】12年度通期営業利益予測
(全産業)

・金融、公共サービス(電気・ガス)、
消費者サービス(娯楽等)を除く上場企業
・増減率は業界ごと営業利益の加重平均

【図表5】業界ごと 修正額内訳

・金融、公共サービス(電気・ガス)、
消費者サービス(娯楽等)を除く
上場企業
・期初に業績予測を公表し、
その後(12月14日時点)で
修正予測を公表した1,409社対象
・増減率は業界ごと営業利益の
単純平均

【図表6】業界ごと12年度
通期営業利益予測期初からの修正比較

大分類 増減額
(百万円)
増減率
(%)
企業数
食料・生活用品 -73.026 -5.46 125
中間流通 -290,811 -22.70 98
建設・不動産 -19,667 -2.39 125
広告・情報通信 -185,351 -6.95 128
素材・素材加工品 -819,823 -26.52 261
エネルギー -135,653 -12.30 12
機械・電気製品 -1,084,725 -22.87 294
医薬・バイオ -5,148 -0.88 53
外食・中食 -24,078 -24.33 36
陸運(旅客輸送) 64,751 4.97 21
陸運(貨物輸送) -4,309 -6.43 16
水運 -57,546 -55.53 16
空運 -22,824 -12.03 7
小売 -92,825 -8.39 99
輸送機械 -268,123 -6.39 97
全体 -3,019,158 -13.30 1,388

投資手控えの動向が定着

【図表7】キャッシュフローと設備投資

・法人企業統計
・キャッシュフロー=経常利益×0.5+減価償却費
・データは全て四半期の値、後方四半期平均

低成長期における特徴的な動きとして、企業が設備投資を先送りし、手元資金を留保する傾向が顕著となっている点が指摘されます。

リーマンショックが顕在化する直前、2008年第2四半期を境に、設備投資は減価償却費を下回る水準が続いています。既存設備の補修や更新など最低限に留まっていることを表しており、国内投資減少という側面からも、成長に対する下押し圧力が顕在化していると観測されます。


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