ロジスティクス・インサイト「インタビュー」

コファスジャパン信用保険会社
与信業務部シニアバイスプレジデント
中村 昌夫 氏

欧州を代表する経済機関として、ユーロ経済危機の現状及び、2013年の世界経済アウトルックについてコメントをお聞かせ下さい。

【図表1】先進国及び新興国のカントリーリスク評価

コファスジャパン信用保険会社 カントリーリスク

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コファスでは「カントリーリスク・コンファレンス」という年次会議をパリで開いています。今年は1月22日に開催し、アウトルックがちょうどリリースされたところです。

なお、我々の算出する「カントリーリスク」とは、国債のデフォルトリスクを計測したソブリン格付とは異なり、企業間取引における支払不履行の確率をベースに、その国のビジネス環境評価を推計したものです。リスクが増加していく順に、A1、A2、A3、A4、B、C、Dという7段階のスケールで格付けしています。

様々な国・地域におけるお取引にあたって、ミクロ経済活動の実態を捉えたインデックスとして、有用にお使いいただけると思います。

まずユーロ圏については、2012年は△0.2%とマイナス成長を予測、2013年も△0.1%と景気後退局面が継続するとみています。

地域経済或いは世界経済に伝播するような大規模な金融危機の発生確率は減退傾向にあると考えていますが、制度改革の進展が不完全であること、そして急速な労働市場悪化によって、特に南欧における経済収縮が、ユーロ圏経済全体へ影響すると思われます。

【図表2】カントリー@レーティング定義

A1 政治・経済状況がきわめて良好であり、事業環境が
優れている。
このことが、企業の決済動向にも好影響を及ぼしている。
債務不履行に陥る危険性は平均してきわめて小さい。
A2 政治・経済状況が良好である。事業環境には若干不備
がある。平均的な企業が債務不履行に陥る危険性は平均
してそれほど大きくはない。
A3 この国の良好であるが、若干不安定な経済・政治環境の
変化が決済動向に影響を及ぼす傾向にある。事業環境には
不備がある。平均的企業が債務不履行に陥るおそれは、
容認できるレベルにある。
A4 政治・経済の見通しに、若干の不備が見られる。比較的変動
しやすい事業環境が企業の決済動向を損なう可能性がある
ものの、これが債務不履行を引き起こす危険性は平均して
まだ容認できる範囲内にある。
B 経済・財政上の不確実性と、時には厳しい事業環境が、
企業の決済動向を損なう可能性がある。平均的企業が債務
不履行に陥る危険性は比較的高い。
C きわめて不確実な経済・政治の見通しと数多くの不備に
よって事業環境が損なわれており、これによって企業の決済
動向が深刻に損なわれる傾向にある。平均的企業が債務
不履行に陥る危険性は高い。
D 政治・経済状況のリスクがきわめて高く、しばしば悪化する
事業環境が企業の決済動向に重大な影響を及ぼす
可能性がある。平均的企業が債務不履行に陥る危険性が
きわめて高い。

こうした状況から、1年前にA4に格下げし、12年7月にネガティブウォッチをつけたイタリアとスペインの評点をBへとさらに格下げしました。

一方、新興国諸国における外的危機への耐性には目を見張るものがあり、2012年のGDPフォーキャストは4.9%、2013年も5.2%のプラス成長と、底堅い成長を見込んでいます。今回、コファスではインドネシアをA4に格上げしています。

日本については、中国向けを中心とした輸出減少が経営リスクとして懸念され、A1ネガティブウォッチと変更されました。
日銀短観においても、2012年12月調査では9月調査より製造業を中心に大幅に低下しており(大企業製造業DI△11、中小企業製造業DI△22)、経営環境動向については注視が必要と考えています。


物流業界にとって、貴社サービスの有用性を教えて下さい。

信用保険は、商品売買債権以外に、もちろん「サービス提供による売掛債権」も対象です。

日本の物流各社は、製造業の海外シフトと同期して、現地のロジスティクスプロバイダーとの提携を強めたり、自社の現地法人開設が増加していると感じています。

こうした動きのなかでは、ローカル代理店への委託取引や、あるいは内資企業との配送や保管、輸入といった新しい取引が生まれる可能性があります。既存債権だけではなく、海外企業向けに新規ビジネスを拡大しようとする物流事業者の皆さまに、まずは与信調査からご利用頂きたいと考えています。

物流業界の方々は財物保険(PL保険、海上保険、運送保険等)に対するご理解は深く、数多くの物流企業様がサービスの一つとして位置付けておられ、物流と保険業というのは元々親和性が高いと感じます。

従って今後は、物流事業者様と新たなお取組みの可能性があると考えています。例えば、クロスボーダー取引を得意とするフォワーダー様に、当社オンライン与信データベースを代理店としてご活用頂いて、海外展開を志向しておられる荷主への信用情報提供とともに、本業である物流サービスを獲得する・・・など様々なアイデアが考えられると思います。

こうした取り組みが実現すれば、荷主のマーケット開拓とリスク保全、そして国内外一貫物流を組み合わせた強力な差別化サービスが実現すると思います。

以上

取材後記

【図表3】「輸出企業が直面している
商取引面の課題・リスク」

コファスジャパン信用保険会社 カントリーリスク2

出典:中小企業白書2012
複数回答、N=2,309

物流業各社は、自社の得意とする輸送・保管・荷役といった単一サービスを起点に、それらを複合的に備えるマルチプロバイダーとして機能強化を目指し、荷主による合理化・ノウハウ高度化の要請に応える努力を続けています。

今回のインタビューでは、物流企業が荷主のマーケッターとしての役割を担う可能性の示唆がありましたが、既にIT業界は物流と不可分であり、物流事業者は各々の業界を超越した融合サービスを展開しています。今後業界における次なる革新が生まれるとすれば、異なる業界機能を接合した多能工としての新しい物流企業のかたちであろうと思います。

例えば、人が動き、情報が動き、モノが動き、お金が動くという商取引プロセスにおいて、物流事業者が更に踏み込んだ複合サービスを展開することも新たな事業機会になるかもしれません。「情報流と物流には強いが、商流への関与はちょっと・・・」という物流事業者がほとんどでしょうが、モノが動けば必ずお金が動きます。日本国内では物流と商流は別物という認識が大勢であり、異なる業界機能の接合がなかなか進まない状況です。

中小企業白書によれば、輸出企業について5割近くの企業が、取引における課題・リスクとして「現地ニーズの把握・情報収集」「現地におけるマーケティング」を挙げており、ローカル展開にあたってのマクロ・ミクロ情報ともに補完するプレイヤーが必要とされていることを実感します。


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設立 1946年(日本のプレゼンス:1995年)
資本金(連結) 14億6500万ユーロ(2011年)
株主 Natixis(ヨーロッパの主要銀行)100%
国内拠点 東京及び大阪
海外拠点 66カ国
取引信用保険とは

企業間の継続的商取引において、バイヤー(債務者)の倒産、代金支払債務の不履行により貴社が被る貸倒れ損害に対して保険金をお支払いするという、売掛債権保全のための損害保険商品です。国内・海外の取引をカバーしながら、与信管理を最適化し、既存の取引先もまたはこれから進出しようとしている市場も安全に開拓することが出来ます。

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【発行日】

2012/10/09




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