ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

ロジスティクス・アンケートから読み解く
荷主企業の物流思考 その2

前号に引き続き、昨年当社が実施した「荷主企業におけるロジスティクス・アンケート調査」の結果を紹介します。この調査は、特に4つの特定業種(アパレル、メディカル関連、機械・電機、通販・小売)に対して実施したものですが、その結果は同業だけでなく他の業種にも共通する物流課題が抽出されました。その中で、前回は下記設問の回答とそこから読み取ることができる傾向や問題点を検証しました。

・現在の物流運営体制について
・今後の物流運営体制について
・物流を主に管理している部門について
・物流拠点数について
・物流委託先の見直し頻度について

※前回の記事を読む
 「ロジスティクス・アンケートから読み解く 荷主企業の物流思考 その1」


今号は前回のアンケートに続いて、荷主企業のあるべき姿とそれに至るまでのポイントを当社視点でまとめました。各読者の立場で読みこなしていただき、今後の活動ヒントとして活用いただければ幸いです。


設問6
委託先に対する満足度

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質問6 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 無回答 合計
アパレル 5% 29% 33% 5% 0% 0% 29% 100%
機械・電機 0% 58% 17% 17% 0% 0% 8% 100%
通信・小売 15% 23% 23% 15% 0% 8% 15% 100%
4業界計 5% 37% 25% 10% 0% 2% 22% 100%

概ねの企業が満足と答える中、アパレル5%、メディカル7%、機械・電気17%、通販・小売15%が委託先に対して不満を持っていると答えています。業界計で見ると全体の10%は不満を持っているという結果になりました。
委託先について不満と回答した企業の具体的な内容としては以下のような内容が多く挙げられました。

・委託先との意思統一が難しい
・自主的な改善活動を行っていない
・委託先からの改善提案が無い
・オペレーションレベルが低い
・業務の精度が低い
・物流機能が不足している
・委託先のサービスレベルが企業によって異なっており、会社としてお客様に一律のサービスレベルを提供することができない

結果を見ると、不満の大半は荷主と物流企業のコミュニケーションギャップから生じており、荷主の改善要望に物流企業が応えきれていないことが想像されます。
荷主の不満を大きく大別すると下記の2通りに区分できます。


(1)”改善”という抽象的なニーズを持っている荷主
(2)物流企業の提供する“オペレーション”“精度と機能”に対して不足を感じている荷主

コストダウンニーズの高い荷主企業と、物流を受託することで収益拡大を図る物流企業は常に『利益相反関係』にあります。その中で、『改善』を考える機能は荷主企業独自に保有しなければ物流企業任せになり、最終的に『改善提案が無い』という不満の言葉となって現れます。ここに荷主企業のアウトソーシング体制の問題点を見ることができます。

また、(2)のような具体的な不満を持っているにもかかわらず、解消されないという現象はコミュニケーション不足といえます。不満解消のためには荷主企業の制約を緩和しなければならない部分と、物流企業の大胆なサービス調整が求められるケースが多くみられます。しかし、必要なコミュニケーションが不足し、制約解消されない状況が続くことが、荷主企業にとって「要望が放置され、不満として残る」ことにつながることは間違いありません。


設問9
物流について改善などの取組を行う場合、どのような手段で情報を入手しているか

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業種 アパレル メディカル 機械・
電機
通販・
小売り
合計
(1)新聞(業界紙)を利用している 1 2 1 2 6
(2)コンサルタントを利用している 2 2 1 1 6
(3)物流に関するメルマガを利用している 1 3 1 5
(4)同業界での会合等に
参加し情報をにゅうしている
4 6 3 1 14
(5)物流に関するセミナー等に
参加し情報を入手している
4 4 1 2 11
(6)委託先から情報を入手している 11 7 6 4 28
(7)その他 5 3 5 6 19
無回答 3 1 4
合計 31 28 17 17 93

最も多かった回答は『⑥委託先から情報を入手している』であり、93回答中、28回答で全体の30.1%を占めます。
この情報経路は委託先の偏った情報である可能性が高いため、それを理解したうえで参考にするべきといえましょう。
次いで『セミナーや同業界会合で情報を得ている』という(4)(5)の回答があわせて26.8%を占めています。
外部の第三者情報を得ることで検討の範囲を広げることができ、新たな着想の材料として外部からの情報を基に自社で検討するという仕組みで動いていることがわかります。

物流改革や改善に着手する時に必要な情報は、業界内、他業界、一般的な物流情報など多岐に亘ります。欲しい情報によってその調達先を使い分け、あるいは独自の情報網を構築することが重要といえるでしょう。

例えば、下記のような分類で独自の情報源を作ることも考えられます。

1.業界内情報 物流業のセールス担当、同業他社ネットワーク、
コンサルタントなど
2.他業界情報 取引先物流企業、物流業のセールス担当、
コンサルタントなど
3.時流・改善ネタ 3 取引先物流企業、コンサルタントなど
4.物流業界の新物流サービス 物流業のセールス担当、コンサルタントなど

いずれにしても、委託先との偏った情報を基に物流改革や改善などの新しい取り組みに臨んでも、その領域が格段に広がらないことは想像に難くありません。複数の情報源を独自に保有することが相場観を養い、新しいロジスティクス施策の着想の元となるのです。




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【発行日】

2013/05/09



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