ロジスティクス・インサイト「インタビュー」

株式会社NTTロジスコ
代表取締役社長
中川 雅行 氏

今号では、株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコ(NTTロジスコ) 代表取締役社長 中川 雅行 氏にお話を伺います。

同社の前身は、「NTT物流部」です。1991年にNTTが100%出資で「NTT-PD企画」が設立され、94年に「NTTロジスコ」に改称、NTT物流部から資産・人員を継承し、同年4月に事業をスタートさせました。

08年の中川雅行社長の就任以来、それまで親会社やグループに依存していた事業モデルの転換に舵を切り、抜本的な意識改革を展開されてきました。

現在ではNTTグループの物流をベースカーゴに、IT機器・医療機器・通販などの分野を中心とした一般物流の売上は3割を超えています。特に、「ICT」(*1)のノウハウを活用したサービス開発、「TPS」(*2)を具体化したオペレーション改善に特徴があり、物流業界において差別化されたポジションを確立しています。

国内物流量は減少するという予測が大勢のなか、どのような戦略をもって外販拡大を目指すのか、また、今後の物流業界について、どのような成長期待をお持ちでいるか、コメントを伺いました。

(*1) ICT: Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略。「情報」をあらわすITに加え、「コミュニケーション」を重視した概念であり、医療・介護・福祉・教育等の公共分野への活用が期待されている。

(*2)TPS: Toyota Production System(トヨタ生産方式)。大野耐一が中心となり、トヨタ喜一郎らが提唱していたジャスト・イン・タイムの思想を具現化し開発した生産システムで、根幹となるのが「7つのムダ削減」、『かんばん』によって知られる「ジャスト・イン・タイム方式」「自働化」である。効率化と高品質なものづくりの頂点を極めた生産手法としてトヨタグループの強さを支えるとともに、業界や国を超えてあらゆる産業界での導入が進んでいる。



貴社は一般的に「外販」と呼ばれる一般物流を積極展開されています。
多くの物流子会社が、親会社物流のみを担う機能子会社として位置づけられるなかで、外販戦略を推進される背景と、具体的取組みを教えてください。

当社が94年に事業開始した際は、主にNTTグループ全体への貢献が期待されていました。
しかしその後、電話帳配達をはじめ固定電話通信に付随する物流が激減し、ベースカーゴが低減していくなか、一般物流分野の強化は必然でした。

それまでは主に、グループ企業からの受託業務の遂行を期待されていたわけですから、3PL市場に参入し、並みいる競合と同じ市場で戦うためには、抜本的なオペレーション改革が必要でした。

まず取り組んだのは、徹底的な「サービスレベル改善」と、その実現を通じた「コスト削減」です。

例えば『2S』の徹底、さらに『3ムダラリ(ムダ・ムラ・ムリ)』排除によって、作業の標準化、人員・工程の適正管理・日次収支管理を実行し、作業コストを削減します。
こうして作業生産性が向上するとコストが低減し競争力がつく、という仕組みを具現化し、外販部門は昨年、前年比12%の成長を達成しました。
当社は、大きく3つの業界をターゲットとして営業展開を行い、お客様からご支持を頂いています。

【サービスのご紹介】

■医療機器物流

NTTロジスコ 医療機器物流

※クリックして拡大

■通販物流

NTTロジスコ 通販物流

※クリックして拡大

一つ目は、ルーターやサーバーなどのIT機器です。グループ向け物流と親和性があり、比較的取組みやすい領域でした。

二つ目は、医療機器分野です。薬事法など各種法令を遵守した業許可取得や管理者配置など、参入障壁は高いものでしたが、いまではISO13485の認証を取得、QMC省令に準拠したサービスを提供しています。有資格管理者(医療機器分野における「責任技術者」)も50人が在籍しています。

三つ目は、通販物流です。同分野は、将来的な市場成長性という観点からターゲットとしました。物流だけでなく、ネットショップ構築や決済、コールセンタ受託や返品・検査業務までをワンパッケージサービスとして展開し、年間出荷実績は1,000万件に達しました。

貴社の『強み』を教えて下さい。

『品質』、『コスト競争力』、そして『システム』です。

先ほどご説明したとおり、サービス品質の追及と、コスト低減は両立します。コンペに参加する機会も多いですが、コスト面でも勝っていると実感しています。
品質向上の視点では、定期的なCS調査を実施しています。今年で8回目となりますが、CS調査専門の外部機関に委託して、荷主の皆さまの満足度を調査するものです。

当社のサービスに対して不満をお持ちのお客様は、結果的にはライバル会社に転向しかねませんから、自らこうした客観評価を活用し迅速な対応策を打つことは、顧客と長いパートナーシップを構築するうえで欠かせない仕組みだと思っています。

また、『SLA(サービスレベルアグリーメント)』の導入も、斬新な取組みと認識しています。「サービス品質保証契約」と言われ通信業界では一般的ですが、物流業界で積極展開している企業はあまり聞いたことがありません。
当社のSLAでは、受託する業務内容・範囲・条件、達成すべきサービスレベルを明確化し、それに達しなかった場合はペナルティをお支払いする仕組みを採用しています。

最後に『システム』ですが、これは、まさにNTTグループとしての強みである「ICT」のノウハウを物流事業で活用して、強化してきた分野です。

代表例として、当社は、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)のSaaS(*3)化に取組み、物流業界としては世界で最も早く商品化したのではないかと思っています。SaaS化によってWMSのランニングコストダウン、開発期間の短縮につながったと、お客様には高評価を頂いています。

(*3) Saas:Software as a serviceの略。ユーザが必要な機能や期間を自由に選択して利用できるソフトウェア(主にアプリケーション)のサービス形態。


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国内市場が縮小すると予測される中での戦略・方向性


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