株式会社日立物流
執行役グローバル第二営業開発本部長
福本和哉 氏
弊社としては、なるべく多くの路線会社様とお付き合いしながら、業務や地域に合致した事業者様と、幅広くお取引頂いております。運賃値上げの対策に関しては、プロジェクトごとに対応をしていくと思いますので、当社として決まった方針はありません。
ただし一つの方策として、自社便を増やし、自社で配送可能なエリアを増やしていくことで業務遂行上のリスクヘッジを図る、という考え方は有効でしょう。
現状では、そうした事業者様を対象としたM&Aは議論されておりません。特別積み合わせ事業などネットワークインフラ事業は固有のノウハウや仕組みに支えられたビジネスであり、弊社としてはこれまでどおり、専業の企業様と広くお付き合いさせて頂きたいと考えています。
現在は、専業の物流不動産専会社やファンドによって、マルチ対応型の施設が市場投入されており、アセット戦略の選択肢が柔軟な時代です。但し、既存の施設ではどうしても理想的なオペレーションが実現できないケースもあります。
例えば、大型ワンフロアで先端的設備を誇る物流センターであっても、TC利用しようとすると、非常に使いづらい場合があります。
弊社としては、拠点を自社で用意した場合と、外部委託した場合の運営コスト比較を行なったうえで、立地から戦略的に望ましいと判断される場合は、今後もアセット投資を行っていきます。その場合でも、マルチテナント型施設よりも、得意先と一体となって建設していくBTS型施設を推進する方向性だと思います。
メーカー系物流子会社のM&Aを含めた再編は、今後も行われていくと思います。そうしたニーズ・トレンドに対し、当社がどうお役に立てるか、また、いかに機動的に対応出来るかが経営に関る重要なイシューと捉えています。
また、物流業界全体の課題として人材不足が挙げられます。現状でもドライバー不足は深刻化しつつあり、庫内作業員についても確保が難しくなっています。外国人スタッフの登用プログラムを、行政が主導して行なうべき時期がきていると考えます。将来的には、外国人ドライバーや作業員が大半を占める、といった状況もあり得ると思います。
以上
ここ一年、物流業界に大きな波紋を呼んだ大手路線各社の値上げによって、多くの3PL事業者が「自社で何とかコスト吸収する努力をするか」「荷主へ価格転嫁するか」という判断を迫られました。BtoB物流にとって欠くべからざる輸送機能を安定的に調達できないことが、一括元請を標榜する3PL事業運営にとってのボトルネックであることが露呈したといえます。
こうしたリスクへの処方箋としては、今回のインタビューで伺った自社便の整備・増便も一つ挙げられます。また、区域物流事業者をつなげて面展開する方策も検討されています。ノンアセット・ライトアセット型を目指してきた3PL各社にとっては、大きな経営判断を迫られるイシューであるはずです。
いま、物流業界は、業種や国境を越えてかつてない規模で変動していると感じます。
国内では、圧倒的貨物ボリュームを武器に、アマゾンや楽天物流など異業種からの業界参入が相次ぎ話題を呼びました。
物流業界では、機能をより広幅化させ、元請として荷主の事業運営により深く入り込む総合型3PL事業者が力を増しています。今回取材した日立物流様はそのフロントランナーとして、明快な事業戦略と積極的なM&A展開によって成長のステージを登り続けています。
将来的には、あらゆる物流機能を一社で網羅し、さらに付加価値までも追及した『日本版物流インテグレーター』が誕生する日はそう遠くないかもしれません。

*年月は公表時期であり実際の連結化時期とは異なります(香港物流会社:13年7月、トルコ物流会社:13年10月)

■本社ビル(2013年3月末現在)
商号 | 株式会社日立物流 | |
創業 | 1950年2月 | |
本社所在地 | 東京都江東区 | |
資本金 | 168億円 | |
上場 | 東証一部(1989年二部 1990年一部) | |
売上高 | 5,475億円 (2012年度) | |
ネットワーク | 海外 73社 343拠点 (日立物流含む) 国内 27社 364拠点 合計100社 707拠点 |
|
グループ総人数 | 日立物流 | 1,959人 |
グループ会社 | 20,834人 | |
連結人員 | 22,793人 | |
持分法適用会社 | 2,175人 | |
パート・派遣社員他 | 21,556人 | |
グループ総人員 | 46,524人 |

※ 株式会社日立物流様の詳しい会社概要は、こちらからダウンロードいただけます
【発行日】
2013/12/15
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