ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

成果を出す倉庫作業改善のポイント

結果・提言:効果を出す倉庫作業改善の取り組み

 前述のような現場は非常に多く見かけられます。なぜそのようなケースが多くみられ、そのままの状態で残されているのでしょうか。それは『それでも現場は回る』という見方と『一度回り始めた現場は現場任せでも完了する』という現実があるためです。
 しかし、今ができているからこれからも問題ないという考え方ではこれからの人件費上昇と人材不足をクリアすることは不可能です。人件費の上昇以上に作業能率を向上させなければ収益の好転は見込めないことは誰が見ても明らかです。そのために実行することは単純です。作業改善による作業能率の向上しかありません。
 作業改善はただ闇雲に取り組むのではなく、手順・視点にコツがあります。その中でも効果の高い取り組みの視点は下記になります。

1.作業に流れを作る:団子作業をやめてひとつずつ流す

作業を組み立てるとどうしても分割して各々に人や場所を配置・確保しようと考えがちです。そのような体制の中で作業時間に制約がつき始めると、短時間でそれぞれの工程を処理しなければならないことになります。短時間に作業を処理するためにできる限り多くの人員を入れて取り掛かることになります。
まとめ作業は物を溜めてまとめて作業することになるため、置き場所と人員が必要になります。場所が広がり、人が集中するとムダな動作が必要になります。
まずやるべきは、業務を一つ一つ流すことで流れを作ることです。
そうすることで各工程の業務は、一つ完了したら次工程に流すことになり、手の届く範囲で業務を完了することが可能になります。また、一つ一つ完了させることで作業員一人ひとりに一定の業務スピードが作られることになります。

成果を出す倉庫作業改善のポイント

2.分断された作業をつなげる

工程が分割されると、工程と工程の間をつなぐためのバトンタッチが生まれます。文字通りタッチ回数が増え、そのためのムダな動きが発生することになります。
①工程間をつなぐための商品出し入れ:前工程から後工程に物を移動させるための時間、歩行が発生する。
②スペースの分割:工程が分割されるということはスペースも分割されることになります。分割すればするほど、作業を完了した工程のスペースは稼働率が低下することになります。

3.前後工程の作業スピードを合わせる

前後工程のスピードが合わないことで2つのムダが発生します。
①手待ちのムダ:前工程が後工程より遅いと、後工程に手待ちのムダが発生することになります。
②滞留のムダ:前工程が後工程より早いと、後工程に物が滞留することになります。
 
前後の工程スピードを合わせるには下記の方法があります。
① 1つ作業するスピード差にあわせて工程に投入する人員を調整する。
② 工程間に標準手持ち量(工程間バッファ)を設定し、工程間滞留が一定量溜まった時点で早い工程が遅い工程の応援に入って調整する。

4.管理者の決めた作業スピードで予実管理する

現場作業者に作業スピードを委ねると、業務終了時間を意識したスピードになります。作業量が増加しても毎日同様の時間に終了するような事態は発生していないでしょうか?
このような作業員任せの作業スピードから『管理者主導の作業スピード』に移行するには『管理者の決めた作業ルール、許容ライン』を現場に提示することが必要です。下記はその例です。
①工程別の作業基準時間 
(例)検品 30秒/件

②定位置
(例)入荷品置き場の線、保管置き場の線
(例)棚の上の置き場表示

③作業手順
(例)検品作業手順書

④作業終了時間
(例)作業進度管理板(時間毎の作業量掲示)
(例)目標終了時間

⑤標準手持ちの設定数
(例)検品工程:標準手持ち10個まで現場の管理者はこのような指標を現場に視える形で表すことで、現場作業員は基準を意識した作業が実行できるようになります。

5.異常を管理する(5S・監督者の基準作り)

 改善を継続するには常に問題点を見出さなくてはなりません。しかし『問題点』とは何でしょうか?問題とは=『基準から外れるものです』。つまり問題点を顕在化しようとするのであれば現場に基準を明確にし、それから外れる事象=異常=問題点なのです。前述したような管理者の考える現場基準をルールとして現場に浸透すること=異常が視える現場になります。異常が視えるとそれが改善対象となり、その真因を追究することで改善活動が進みます。すなわち基準、標準を作れば改善は見えてくるのです。


最後に

今回は倉庫作業改善の視点をお伝えしました。しかし、改善実行とPDCAを定着させることは容易ではありません。物流現場は変化を嫌い、新しい業務手順と今を比較して『感覚的』に今が一番良いと選択する傾向があるからです。

そのような倉庫作業改善を成功、定着させるには3つの大事なポイントがあります。

1つ目は現場に改善の必要性を理解してもらうこと(客観的な現場評価と改善に対する意識改革)です。改善はその必要性が認識されなければ実行、検証、定着まで及びません。そのためには現場が必要性を理解したうえで改善に臨む必要があります。

2つ目は早い段階で成功を体験することです。改善は手間もかかりますし、地味な活動です。自らの活動が具体的な成果(数値)として確認できることで、取り組み姿勢は大きく変わります。

3つ目は現場の活動を評価する場を持つことです。改善に取り組まなくても問題なく回る現場では、何の後押しもなければ誰も率先して改善に取り組まなくなります。改善活動の必要性を会社が啓蒙し、活動に対して会社の評価を伝えることが改善継続の土壌を培うことにつながります。

改善活動は現場だけのものではなく、企業の考え方そのものといえます。人財確保が困難な時期だからこそ、生産性とそれを支える考え方を再構築することが、他社に負けない競争力(現場力)になるのではないでしょうか。

以上

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【発行日】

2015/06/30


【執筆者】

渡辺 庸介

コンサルティンググループ 次長




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