ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

荷主企業の物流ギアチェンジ

結果・提言:今後、しなければならないこと!

  上記のように、後手に回った対応と結果を回避するために、荷主企業の物流部門は時流を読んだ物流マネジメントを実践しなければなりません。オペレーション業務(戦闘レベル)は委託するにしても、自社内で戦略、戦術を練り、物流をコントロールする機能は手放してはいけません。

  外部委託するからこそ強化しなければならない強化ポイントは、下記5つに要約することができます。

1.自社物流の業務要件を整理する(RFP「要件定義書」作成のベース作り)

 『アウトソーシング』≒『ノウハウの喪失』です。コスト低減とトレードオフの関係で、物流業務ノウハウは自社内から無くなってしまいます。その対策として最も有効な打ち手は、自社の物流実態を把握し直すことです。新しい委託先を選定するにも、自社の業務内容が説明できなければ受け取る提案も緩やか、かつ概算見積しか得られません。
 しかし、RFPを作成しようにも、その全容は簡単には把握できません。いざとなって急ごしらえで対応するのではなく、日々の管理と来るその日に備えて準備することが肝要です。

2.実輸送会社との直接契約

 輸配送を委託する物流企業は、自社便と傭車を使い分けています。(ここでいう①『自車』とは自社トラック、自社ドライバー。②『傭車』とは他社トラック、他社ドライバーのこと。)

今後のトラック不足を考慮すると『実輸送会社』との関係作りが必須になります。元請企業に任せきりで2次、3次下請けネットワークを活用するのは、いざという時の選択肢であり、まずはトラックを自社保有する会社を見つけ出し、直接取引(口座)する方策が求められます。そうすることで安定した車輌調達と、競争力のあるコストを引き出すことにつながります。


3.物流企業との交渉力強化

 競争力のある価格及びサービスを享受しようと考えると、物流企業と対等に交渉できる知識が必要になります。
自社にとって必要か不必要か、そのサービスを見極め、そのサービスレベルに見合った対価を支払うのです。その対価を算出するロジックや相場感は自らが把握しておかなければ、そもそも交渉になりません。手にした情報の精査ができず、結果として妥当な着地点に導くことができません。自らの眼力を養うために、不断の情報収集と加工、習得が必要なのです。


4.作業設計と改善力の強化

 物流企業の活用は輸配送のみではありません。在庫保管や入出荷作業、流通加工もパートナーに運営委託することがあります。その時も『専門家にお任せ』というスタンスでは高度化は図れません。

業務委託先に対して、その方向性、評価方法、具体的な改善施策や目標設定は荷主企業から指し示し、推進すべきことなのです。委託先に任せきりの状態では、期待する成果を想定したスピードで実現することは困難です。今後は、自らの物流の現状把握・問題抽出・改善策定ができるノウハウを荷主企業自らが持つことが必須といえます。


5.トータル物流デザイン及び管理(KPI:Key Performance Indicator)

 物流の改善策定ができるノウハウが保持できれば、後はその動きが間違いなく成果を出せているのか?狙った方向に動けているのかを把握するためのKPI(重要業績評価指標)が必要になります。

その時々で問題は変化しますので、打つべき施策とそのKPIも都度変化させる必要があります。変化に合わせて物流をデザインし、それに合わせたKPIを設定し、改善推進できれば、デザイン~目標設定(KPI)~改善推進~デザインという一連PDCAサイクルが自社内で完結できるようになります。



最後に

 今回は『荷主企業の物流ギアチェンジ』の視点をお伝えしました。
 物流業界が大きく変わる中で、先んじて舵を切るためには荷主企業自らが物流戦略の軸を持ち、その具現化を可能にする物流ノウハウを自社内に育てるべきとの警鐘です。
時流から見ても、全ての企業がコスト上昇の危機に晒されています。

この時期は、物流コスト低減で営業利益向上に寄与するというよりも、物流コスト上昇による営業利益低下をいかに未然に防ぐかという視点が重要です。

そのような観点からも、物流はまさに企業活動のコア業務であり、そこに会社資源(人・物・金・時間)を費やすことは至極当然のこととなってきます。

危機感を持った企業は既に動き始めていますが、まだ少し先の話と捉えている企業の方が多いと感じます。どれだけ早く我が身のことと捉え、対策を打つかが求められています。

 現場を見てください。今回お伝えした状況が少しでも顕在化していれば、自らの物流マネジメントで自社の物流を再構築する『ギアチェンジの時期』が来ているということです。

以上

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【発行日】

2016/01/27


【執筆者】

渡辺 庸介

ライン統括本部 コンサルティンググループ




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