ロジスティクス・インサイト「インタビュー」

株式会社スカイウィングス
CEO 入江 衣代 氏 

製造業や物流業、投資ファンドなど多様な業界の皆さまへのインタビュー記事です。
業界内外の様々な観点から自由に語っていただきます。

2016年5月に設立され、ドローン産業に特化した人材紹介会社という新たな分野でサービスを提供している株式会社スカイウィングス(CEO 入江衣代氏)にお話を聞きました。
物流業界が抱えている課題をドローン業界がどのように解消できるのか、現在の技術レベルでのお話、将来的に技術が革新されていく中での解決案を伺いました。


貴社の事業内容について教えてください

 弊社はドローン業界に特化した人材紹介サービスを提供している会社です。
 具体的にはハードウェア開発・ソフトウェア開発・パイロット・営業等の幅広い職種にわたって人材紹介を行っています。ニーズの高い人材としては測量技能を兼ね備えたパイロットなど、パイロット+αの技能を有した方が挙げられます。例えば建設現場の3D化を進める企業にとってはこうしたパイロットの需要が高い傾向にあります。
 パイロットは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(通称JUIDA)などの団体があり、操縦技能と安全運行管理者を認定しています。認定を受けるには10時間以上の飛行経験が必要であり、人口密集地で飛行させる場合には国土交通省に飛行の申請書〔無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書〕を提出する必要があります。申請時に操縦者の経歴を記載する項目があり、そこにも総飛行時間の実績の記入が必須となっています。
 現在では約1,000名がJUIDAの安全運行管理者認定を取得しており、JUIDA認定スクールは全国に40校以上設立されています。弊社はドローンスクールと業務提携し、ドローン産業に携わっていく人材を幅広くサーチすることが可能です。
 その他にもドローンパイロット養成講座の講師、イベントの企画・運営も事業として展開しています。
 

現在のドローンの性能について教えてください

 一般的に流通しているドローンの性能としては、1回の蓄電で約10分間の飛行が可能です。汎用的なバッテリーには20分程度の飛行をするための電力を備えていますが、残量が30%を下回ると事故防止のために帰還指示が出るようになっています。天候にも影響されやすく、外気温が5℃を下回ると低バッテリーになるため、飛行時間が短縮されます。低バッテリーでは、飛行そのものが開始出来ないこともあります。また地上での風速が5メートル程度の場合、上空ではさらに強風が吹いている為、飛行は困難になります。この課題を解決するために、飛行前にバッテリーを暖める機能を有している機種やバッテリーを2台搭載し交互に使用することで稼動時間(=飛行時間)を確保する機種が開発されています。

 目的地まで正確に飛行するための技術革新は著しく、どちらかと言えばハード面であるバッテリーの革新的な発展を期待しています。無人飛行機という観点からお話すると、実際に軍用の航空機が長距離飛行を実現しています。これは動力源が燃料であるからこそ実現できているのであり、ドローンにおいてはバッテリーを動力源として選択しているからこその課題だと思います。

 飛行距離によっては機体を目視で確認できない場合があります。現在ではカメラ機能の技術も発展していますので、このような場合は3次元カメラやFPV(First Person’s View)を搭載し、手元のモニターを見ながら操縦することができます。これらのカメラも視野が十分に広いわけではないので、こちらも技術革新が待たれます。また、現時点では映像通信が可能な範囲は半径約3キロメートルですが2.4GHz帯だけでなく5.7GHz帯まで使用可能範囲が広がるとこちらも改善されると思われます。

 運搬可能重量は汎用的なドローンで10キログラム程度です。1メートル四方の少し大きな機種になりますが、農薬散布などに使用されています。逆に言えば農薬散布などは10キログラム程度を運搬できないと活用するメリットを感じられないでしょう。

 耐用年数は使用頻度にもよりますが、汎用的に使用しているのであれば約半年といったところでしょうか。やはり雨風にさらされるのでバッテリーやモーター、プロペラが劣化してきます。特にプロペラは外側に付いている部品なだけに傷がつきやすく、また鳥などに攻撃されやすい部分です。縄張り意識の強い鷹や子育て時期のカラスはナーバスになっている為、侵入者と判断して攻撃してきます。パイロットの話を聞くと、急上昇や急降下など鳥とは違った動きをすると侵入者ではないと判断して攻撃してこなくなるそうです。

 飛行時の速度ですが、最高速度は時速100キロメートル程度になります。しかしこの速度はドローンレース等での話で、実際に物を運搬する場合は時速50キロメートル程度と思っていただいて良いかと思います。
 

ドローンを飛行させるにあたって、地域差や都道府県での違いはありますか

 ドローン特区に指定されている地区はドローンの活用に前向きと言えます。例えば千葉市の幕張エリアが挙げられます。千葉市は国家戦略特区に指定されており、ドローンを活用した宅配サービスを実験的に導入しています。また福島県は地方創生を掲げ積極的にドローンの活用を受け入れています。その他、四国・中国(特に山陰)地方もドローン産業をバックアップしていると言えます。
 一方で人口密集地では規制も厳しく、飛行するには許可・承認が下りにくいです。技術革新とは言うものの、やはり安全の確保が第一ですので必然的に規制が厳しくなってしまいます。安全確保のためドローン業界では、航空管制システムを開発している企業やドローンポートの開発といったインフラ面の整備を進めている企業も多く見受けられます。行政と民間企業の双方から問題解決に向けてアプローチを進めていくことが必要であると言えます。
 

物流業界においてドローンの活躍する場面はあるでしょうか

 物流業界に限った話ではなく、全産業が直面している課題は人手不足です。その中でドローンに期待されている役割はマンパワーの代用だと思います。ドライバー不足や環境汚染が課題である物流業界では、渋滞の無い空中輸送はトラックによる輸送と大きな違いを発揮できるでしょう。
ただし、トラック輸送に比べて輸送力が乏しいのは事実であるため高付加価値の商品を運搬するのに向いていると言えます。例えば血清や医薬品などは適しているのではないでしょうか。

 輸送力を拡大しようとすると、それに比例してドローン自体も巨大化します。ドローンの大きさによって規制を掛けようという動きが実際に見られますので活躍の舞台としては、まずは先程お話した高付加価値商品の配送、または山間部への集荷・配送といった部分ではないでしょうか。もちろん山間部では通信網の問題がありますが、商品1個のためにトラックが毎回往復する費用との比較になるかと思われます。受け渡し方法には検討の余地がありますが、人間による操縦ではなく地点間自動飛行を行うなど工夫次第で解決・改善は可能だと思います。

 物流センター内でもドローン活用が可能だと思われます。例えば広大な物流センター内において出荷頻度の低い商品は奥に集約し、引き当てが掛かった時だけドローンがピッキングを行うといった使い方も考えられます。
 しかし欧米とは違い日本では数万坪クラスの物流センターは無く、数千坪レベルの物流センターや倉庫であれば人間がピッキングを行う方が効率的かもしれません。また現在の物流センターの造りとして、横からピッキングをすることを想定している為、ドローンによるピッキングに対応するには面での保管が求められ、保管効率が下がることが考えられます。これは縦型ロータリー式のラックを使用して最上段に運搬の後ピッキングするなどの工夫で対応が可能だと思われます。いずれにしても投資コストと人件費のバランスだと思います。
 
 こうしてみるとやはり屋外での活躍の場が多いように感じます。たとえば宅配便の場合、集合住宅の屋上にドローンポストを設置し、そこからソーターのようなものを使用して各部屋へお届けすることは将来的には実現できるかもしれません。バーコードさえ付いていればスキャンして指定の箇所に仕分けることは物流センターで現在実施されていますからね。着陸地点で充電ができるようになれば、低バッテリーになる危険性も回避・抑制できます。

 しかしここでも課題になるのは輸送力です。1つの集合住宅に100ケースの宅配貨物があったとしても100往復することは想定しづらいですね。トラックであれば大きさにもよりますが100ケース程度なら一度で配送することが可能です。ドローンによる配送の場合も少なくとも2~3回に抑えるのがベストでしょう。

 ドローンで物を運ぶ際に課題とされている部分がもう少しあります。物の挟み方・掴み方です。今はまだ人の手で貨物を固定させたり、フック状の物に引っ掛けるなどしています。人の手を介さず自律飛行を実現するのであれば、ドローンが自ら物を掴んだり挟んだりする必要があります。今でも形状の安定した物であれば掴むことは可能ですが、柔らかい物や形状が変化しやすい物を掴むには、もう少し時間を要するでしょう。
将来的に重量物を運搬することになれば、荷物の梱包の方法や包装形態の方にも手を加える必要があると思われます。

 今すぐに離島や遠隔地にドローンを使用して、必要なものを必要なタイミングで必要な量を運搬する事は難しいですが、技術の進歩と発想の柔軟性次第だと思います。何に困っていて何を課題と感じているのか、課題を乗り越えるための発想が必要だと思います。

以上



取材後記

 今回はドローン専門家に現状のドローン性能から将来的なビジョンまで多岐に渡ってお話を伺うことができました。ハード面・ソフト面ともにまだまだ発展の余地がありそうです。技術面だけでなく法規制や法整備といった部分も今後、官民一体となって進める必要があります。
 物流業界における自動化は今後更に進むでしょう。マテハンレベルではなくAI/VR/ARといった技術の進歩が生産性を向上させ、自動運転/ロボティクス/ドローンが人に代わって物流の一端を担う将来がやってくることが想定されます。
宅配をはじめとする小口の輸送にとって変わる時代がいずれやってくると思います。対面での宅配便の受け取りや宅配ボックスの利用は抵抗なく対応できていますが、仮に各戸のベランダにドローンを使って直接配送されるには受け取り側である我々消費者もまだ耐性が無く、プライバシーの問題も懸念されます。
まずは安全の確保と航空法をはじめとする法整備、その後に実務への応用、というステップが踏まれるでしょう。そして数十年後にはドローンの小型化が進み、多くのドローンが飛び交っていて、次は人間が空を飛ぶ!と騒いでいるかもしれません。
 こうした近未来的な空想が現実化されつつある時代に取り残されないよう常に最先端時流を掴み、皆様に発信していきたいと思います。


株式会社スカイウィングス 様  ご紹介
会社概要
商号 株式会社スカイウィングス
URL http://skywings.co.jp/
設立 2016年5月11日
代表者 入江 衣代
資本金 5,000,000円
事業内容 有料職業紹介、企業間コンサルティング、イベント運営・企画

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【発行日】

2017/3/21


【執筆者】

普勝 知宏

コンサルティンググループ



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