ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

2018年版 AI×物流大変革期

はじめに

 2017年は国内のドライバー不足による物流危機の問題が、ついに世間に露呈し注目され始めた年となりました。物流業界では長年大きな問題となっていましたが、業界の殻を破り全産業へその情報が浸透したため、自社の未来の物流網を危惧し改善を急ぐ企業もかなり増えてきました。
 アメリカの物流が日本の10年20年後の姿と言われていますが、アメリカでは既にAIを搭載したマテハン機器が食品工場や自動車関連の工場等で数多く普及しています。4GやWi-Fiの環境が現在も課題となっていますが、北米は世界のAI市場の39%を占めるほどに成長し、物流業界もまたその影響を受けています。

 では、日本はAIに対してどのような意識を持ちどのような対策を取っているのか。それに付随して企業はどのような対策を取ればいいのかミクロとマクロの両眼の視点から観察・レポートしていきたいと思います。

1.「ソサエティ(Society) 5.0」 という取り組み

 「ソサエティ 5.0」とは、ドイツが提唱する「インダストリー 4.0」に続く、日本政府が「人間(現実空間)とIT(仮想空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会の実現」として提唱しているものです。また、日本政府が5年毎に改定する科学技術基本法において、2016年~2020年までのキャッチフレーズとして「ソサエティ 5.0」は登場しました。
 アメリカやドイツの場合は、製造業の生産性の向上等を掲げています。一方、日本の場合は環境やエネルギー・人口減少・高齢化等の問題を含めた「社会のあり方」を変えようとする点で他国と異なっています。但しロボットやAI、ビッグデータによる技術の革新という意味では、どの先進国も同様の軸を持ったイノベーションを目指していると捉えていいでしょう。
 特に2018年現在、ロボットやAIを活用したアプリ業界ではスタートアップ企業の起業と買収がヒートアップし、ビッグデータの回収において大手小売店や大手通信会社が積極的にイニシアティブをとっています。

 今日の日本でAI等によるイノベーションを期待できる分野の一つが物流です。国内における人口減少・高齢化の問題から運送事業のドライバー不足、工場又は倉庫内の人員不足に派生し、AIやITを活用した省人化・無人化の未来物流の構築が企業や国に求められています。
 とはいえ、不確定要素の多い技術であることや導入費用・インフラ整備・倉庫内のレイアウト事情・労働者の配置問題等によって多くの企業が新たな1歩を踏み出せずにいます。
 荷主は値上げ基調により少しずつ利益が右肩下がりになるこの時に、いつどのタイミングで最新化(変革)への1歩を踏み出せばいいのか、英明な判断が求められる時となっています。

2-1.2020年における AI×物流は?

 日本政府全体が技術革新を大きく提唱するその中で、国土交通省は2020年までの物流におけるグランドデザインを具体的に以下のように掲げています。(出所:国土交通省 資料より)

・物流事業の労働生産性を2割程度向上させる
・オールジャパンの物流力を結集し物流の生産性革命を断行する
・業務、スペースの無駄を大幅に効率化し経済と産業の成長を加速化させる
・連携と先進技術で、国民の暮らしを便利なものにする

 その他の具体的施策においては、ドローンポートシステムの開発、次世代海上交通システムの開発、無人搬送車等輸配送の省力化・自動化に関する取り組み、コールドチェーン(低温物流)におけるモーダルシフトを促進する中で最新の鮮度保持輸送技術の開発・普及を行うと提唱しています。
 人工知能を搭載した将棋ソフトや掃除ロボット等が登場してからAI・ロボットは数年で瞬く間に進化・開発されています。その開発スピードを加味すると、2020年には生活・仕事の両面でAI・ロボットによる無人化現象が起きているのではないでしょうか。それは、物流業界にも同じことが言えます。2018年現在はまだ、AIは「意思」や「責任」等の意識たるものを持っていないため最終的な調整はマンパワー(人)に頼っており、人とロボットの共存が求められています。しかし、2020年には完全無人化の物流倉庫が一部試稼働することが予想されます。恐らくこの無人化技術は、ビッグデータ取得のためにコンビニの無人化と同時並行で試稼働すると考えられます。

2-2.2025年までの国交省が掲げる自動運転技術

 国土交通省によると、東京オリンピック開催の年を目途にして高速道路での一部機能の自動運転化を目指しています。今後は、技術の実践と共に法規制の整備も行っていかなければなりません。国土交通省の掲げるスケジュールによると(※1)、2018年現在は自動運転の実現化はまだまだ現実的ではなく、望みは薄いと考えられます。

 今、運送事業会社が事業存続のために行わなければならないことは、自動運転技術の完成を待ち、省人化を行うことではなくラストワンマイルという職業に魅力を持たせることではないでしょうか。「年収1千万プレイヤー」、「免許取得全額補助」、「補助員付き作業」等、様々なことが検討されます。
 ある調査によれば、高収益な企業は投資する部分を明確に定め業界常識の3倍以上の投資をすることで収益に大きく反映させているという結果がでています。つまり、物流業界においても賃金・福利厚生・資産・システム・その他何か1つ企業概念のキーとなるものに3倍以上の投資をすることが他社との間に競争力の差別化を生み出し、足元の物流問題を解決する糸口になるのではと考えられます。

 宅配業界ではマンションやホテル等の建物内において一部ロボットによる無人宅配業務が試行されています。このAI技術は、既に発売され普及している掃除ロボットやAI警備ロボットの機能を応用した技術となります。今後、法律の整備がスムーズに進めば、2025年頃までに無人ロボットによる人へ危害を及ぼすリスクの少ない建物内宅配の普及が期待できます。

 近年ではトラックの自動隊列走行の実験も活性化し、経済産業省は2022年までに後続無人隊列走行の実現を目指すと発表しています。この一見シンプルに見える実験は、ほんの数年前から始まったものではありません。2008年頃から製造業・メーカーが段階を踏んで様々な実証実験を行ってきた賜物なのです。10年という年月を考えると相当のビッグデータが構築されていることが予想され、早急な普及に期待が持てます。

>> 次ページ 2-3.現在導入されているAIの事例


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