ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

センターフィーは無くなる?!
センターフィー入門編

1-3.取引の割合と納入業者の声

 2018年1月に発表された公正取引委員会の実態調査によると協賛金・センターフィー調査について後述のような結果がみられ、それらの徴収に苦しむ納入業者の声を挙げています。
同委員会の集計資料によると協賛金・センターフィー負担の要請では、集計対象19,289取引の内、約24.4%(4,715取引)において主要取引先から負担の要請を受けていました。更にその約97%(4,555取引)の納入業者が当該要請を受け入れており、その内今後の取引への影響を恐れ、致し方なく受け入れた納入業者が約28.6%(1,320取引)となります。このように見ると小売業の力関係を理由に受け入れている会社はそれほど多くないように感じます。しかし実際は、従来の取引のまま担当者が異動してしまい算出根拠が無い為、抗弁権を行使できずに致し方なく受け入れ続けている業者も多くいます。
先述しました協賛金負担要請を受け入れた納入業者の内、彼らにとって合理的な負担分の額を超えるセンターフィーの要請があったのが約14%でした。その詳細を見ていくと、約50%の納入業者がセンターフィーの料率のみしか小売業者側から提示されず、算出根拠を説明してもらえなかったと回答しています。他にも、自社による各店舗への配送コストよりもセンターフィーが上回っていたり、同業他社と比べてセンターフィーが高額であったりと不条理な請求に対する不満を持つ業者の回答も部分的に見られました。 欧米でいうところの販促奨励金はリベートや協賛金に当てはまりますが、こちらは納入業者にとっても売り上げを上げるか下げるかのマーケティングの分かれ目であるため致し方ないことかもしれません。しかし、センターフィー制度設立前より変わらない従来の配送コスト・納入コストのまま+α で算出根拠の不明なセンターフィーを小売業者側が求めることは必然的に問題と認識されてしまいます。

ここで忘れてはいけないのは、現状専用センターにおける卸売業者側のメリットは何か、ということです。それは、配送負担軽減の1点しかありません。そうであるならば、卸売業者にとっては小売業者の専用センターは不要になってしまうかもしれません。現状は小売業者側のバイイングパワーが強いケースが多いこともあり、納入業者側は専用センターの交渉はおろかビジネスパートナーとして対等な立場に立つことすら難しいのではと考えられます。しかし、ECの台頭で現状の店舗型の小売業者側と納入業者側の立場が一転する日がくると予想しています。ECが台頭し始め百貨店や総合スーパーの売り上げが下落し続けている今、新たなマーケティングの未来を考えた時に果たして店舗型小売業者が優位的な地位を維持し続けていられると言えるでしょうか?
私は、店舗型小売業による納入業者に対する優位性の維持は難しくなると考えています。現在のSCMの主軸を担う大手の納入業者は、これから来るEC革命によってオンラインショップ側のSCMを担う納入業者に切り替わり、定着するでしょう。その時に、マーチャンダイジング機能が乖離してしまうことを恐れる店舗型小売業者とその機能を持つ納入業者との立場が逆転し、現在物流業界で問題となっている荷主と物流会社の立場逆転のように、店舗型小売業にとっての物流クライシスが待っているのではないでしょうか。 では今、小売業者側はセンターフィーに対してどう対応すればいいのでしょうか、解決策はあるのか次章で考えていきます。

1-4.小売業はどのように卸売業者やメーカーと付き合っていく?

 前章の通りなら、メーカーとの直取引を行う体制を構築すればよいという声も挙がっています。適正な在庫コントロールが可能となるため、コスト削減による売り上げのUPも考えられます。しかし、物流の視点からいえばそれは現実的とは言えません。卸売業者の排除は、自社の完成したSCMやマーチャンダイジング機能の排除にも繋がる恐れがあるからです。物流が乱れれば築き上げてきた顧客の信頼が総崩れになることは免れず、稼働初期のリスクが非常に大きくなると考えらます。しかし、仮に小売業者が卸売業者の利益を重視し、リベート制度やセンターフィー制度を完全撤廃した場合その収益の確保と新スキームが確立し安定するまでの移行期間は、自社の利益が大幅にDOWNすることが予測されます。

ではどうするべきなのでしょうか。一つ、単純ながら複雑な作業が求められる答えがあります。センターフィーという概念を捨てずに全くのゼロベースで最適解のセンターフィーの料率を求め直すことです。ただし、単純に見直して完全固定化するのではなく、「AI流動型 最適料率」として一定のスパンを決めて料率の設定をします。そして人間の手で逐一非効率的な料率計算を行うのではなく、AIが料率の計算を担うことになります。フィンテック革命が起こっている現在で、計算型AIの開発においてできないことはないと考えられます。例えば、平均配送コストの数字を1つ変更するだけで全体の数字や料率が最適化されるシステムは、今日までの技術を応用すれば「料率計算 AIシステム」として開発が可能になるのではないでしょうか。至極単純な考えではありますが、実際にプロジェクトを始めようとすると相当なデータ量と労力がかかることが考えられます。荷主にとって自社に最適なデータ分析スペシャリストと改善スペシャリストのパートナーを見つけ、未来で予想される問題の発生を食い止め、競争力のある半歩先の対策を打っていきましょう。

おわりに

 このレポート作成の為に様々な調査を行った結果、私は公正取引委員会が今後数年の間に、算出根拠が不透明で且つ納入業者側にとって常識的な負担額を超えるセンターフィーの料率を展開している小売業界に待ったをかけるのではと予想されます。そして、同委員会は大手・中小零細小売企業に優先順位をつけながら、現料率の正当な理由の説明を求めていくのではと予想しています。そのような際限のない押し問答になってしまう前に、未来の自社の店舗型小売業の生き残りをかけて、社内の誰もが避けてしまっているセンターフィー問題に一度真剣に向き合ってみるべきではないでしょうか。

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【発行日】

2018/6/13


【執筆者】

井上 輔

船井総研ロジ株式会社 ライン統括本部 コンサルティング事業部 東京グループ




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