ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

アメリカ物流の最新事例!AIロボット導入の新しいビジネスモデル

本稿ではアメリカの物流業界向け展示会「PROMAT」の視察で当社が注目したAI搭載の物流ロボットとアメリカ物流における新しいビジネスモデルの1つ「ロボットのインセンティブ制(成果報酬)」について解説します。

1.はじめに

2019年4月8日から12日にかけてアメリカ物流の業界動向や最新事例を入手するために「PROMAT」というシカゴで開催された物流業界向け展示会を視察してきました。
まずアメリカ、シカゴに到着して感じたことは、「アメリカ物流はダイナミック」ということです。空港からホテルに向かう道中に見える鉄道は全て2階建てです。加えて、ハイウェイを走るトラックも20t以上は積載できる大型トラックやトレーラーばかりです。「人を運ぶ」「物を運ぶ」のいずれにおいても大量輸送です。アメリカの道路は基本的に4車線、幹線道路になると5車線以上にもなり、この大量輸送を可能にしています。
このような環境もさることながら20t以上のトラックが満載になる荷量があることもアメリカ物流の特徴であると言えます。荷量が多いということはその分、効率化を図ろうと様々な考え方や方法が生まれてきます。

「合理化・効率化」という概念は古くからアメリカにある考え方です。そんな環境の中で開発されたAI搭載のロボットについて述べていきます。

2.AI搭載の仕分けロボット

アメリカの物流業界向け展示会「PROMAT」で、当社が注目したのはAIを搭載したロボットです。大国アメリカと言えど、AIを搭載したロボットはあまり市場には展開されていない状況で、唯一発見したのはAIを搭載した仕分けロボットでした。
このロボットは、丸形のUFOのような形状をしています。トータルピックした商品をロボットアームで納品場所別に仕分けします。仕分け間口が40ヶ所設置されており、検品も全自動で行います。デモンストレーションで取扱っていた商品はバラの小物ですが、どのような商品でもアームで掴むことができていました。

実はこの「掴む」という動きでAIの能力を発揮しています。それは画像を認識してピッキング効率を考えるAIです。商品の画像を分析して、「どのように商品を掴むと効率的か」「どの順番に商品をピックすれば効率的か」を自己学習していきます。AIの長所は自己学習して、人間のように成長する点にあります。このロボットも自己学習によって、日増しにピッキング効率が向上されていきます。使えば使うほど生産性が向上するのです。

3.導入初期費用0円 ロボットのインセンティブ料金

我々が一番驚いたのは、「導入費用0円」というビジネスモデルです。このロボットのビジネスモデルは「1ピック=○○ドル(円)」という料金体系で販売しています。まさに、ロボットのインセンティブ制(成果報酬)です。
これを可能にしているのが、先述したAIの特徴である自己学習するという機能です。日増しにピッキング効率が向上するということは、すなわちロボットの使用料も増加していくということになります。反対に、AIの性能が悪く、ピッキング効率が向上しなければ、業務生産性は向上しない代わりに、支払い料金も低いままで推移します。

今、日本は急激に「自動化」「省人化」「AI」への興味関心が高まっています。しかし、その興味とは反対に導入件数が急激に増えている訳ではありません。それはなぜかというと、やはり「コストが高い」ということが一番の要因となっています。
我々、船井総研ロジもAIロボット導入支援をコンサルティングメニューとしているため、「自動化」や「AI」といったテーマでご相談いただく機会が増加しています。ご相談いただく企業様からは「まだまだロボットの料金が高いと感じる」「ロボットを導入するだけの投資ができない」という声が聞かれます。裏を返せば、「料金が安ければ導入したい」ということです。

そうした、ロボット導入の一番の難点である「高コスト」に対する課題を解決してくれるのが、本稿で取り上げている「ロボットのインセンティブ制」だと考えています。残念ながら、日本でこのようなビジネスモデルを展開しているベンダーはまだ存在していません。しかし、物流業界以外に目を向けると、農業の業界ではこのビジネスモデルでAIロボットを導入する農家が急激に増えています。人手不足が著しい農業では既に、一般的になっているのです。それを考えると同じように人材不足で悩む物流業界に導入される日もそう遠くはありません。

4. 終わりに

物流を取り巻く環境が激変する中で、荷主企業の物流に対する考え方が変わってきています。「物流に対して意識が高い荷主企業」の多くは既に物流を主眼においた製造計画、営業方針にシフトチェンジしています。「運べれば商売になる」と、あるメーカーの経営者が話していましたが、既に物流はビジネスの根幹となっているのです。
そのような環境の中、物流への投資、特に倉庫内の自動化・ロボット化への投資に二の足を踏んでいると、競合他社に遅れをとることは間違いありません。本稿をお読みいただいた物流への関心が高い読者の皆様にはぜひ行動していただき、自社の今後の発展に物流から貢献してほしいと切に願います。

当社は国内の事例だけではなく、本稿のように海外の事例も定期的に入手することで物流の時流を検証しています。中でも最新技術である「AI」、「IoT」、「ブロックチェーン」、「自動搬送機(AGV)」等は主力テーマとして取り組んでいます。貴社が物流の最新事例を基に、今後の物流の在り方を検討される際は是非、船井総研ロジにご相談ください。貴社の業務に合致する技術選定を支援いたします。



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【発行日】

2019/8/1


【執筆者】

小柳 宜久

船井総研ロジ株式会社 ロジスティックスコンサルティング部 


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