コファス・カントリーリスク・レポート

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発行:コファスジャパン信用保険会社


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「トランプノミクス」はラテンアメリカの経済にどのような影響を及ぼすのか?

2017年7月31日

米国の政治の展開は、今後の貿易政策の実施に不透明さを生じさせており、厳しい財政状態に対する地域の脆弱性は高まっている。

 

米国の保護貿易主義的な方策の影響を最も受けやすいのは、中米とメキシコである

米国が今後取り得る輸入措置に対して、米州で最も影響を受ける国々は、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラス、そしてメキシコである。これは、これらの国々が米国と貿易を通じて深く関係しているからである(さらにより具体的に言えば、製造品に重きを置く貿易関係である)。さらに、これらの国では貿易相手としての米国への依存度が高いことに加え、地域内の他の諸国と比較して、GDPに対して輸出が大きい割合を占めている。

 

 

トランプ政権が、当初は米国が大きな貿易赤字を抱えている相手国に注力するという予測に基づくと、メキシコの立場はとりわけ難しいものになる。2016年、メキシコの対米貿易黒字を上回ったのは、わずかに中国、日本、そしてドイツのみである。

同地域内で今回の分析対象となっている諸国のうち、2016年の対米貿易が黒字になっている国は、他にエクアドルとコロンビアの2カ国のみである。したがってこの2カ国もまた、米政権のターゲットとなりうる。それでもなお、米国の貿易赤字全体に占めるこれらの国の割合は不安定であり大きくもないことから、このシナリオの実現可能性は比較的低い。

 

 

NAFTAが攻撃の的に

NAFTAを巡る不透明な状況は、投資を遅らせる可能性があり、特に海外直接投資の流入が減少することが考えられる。また、もう一つ懸念されている問題が、トランプ大統領が米国内のメキシコ人労働者による母国への送金に課税する、と脅している点である。今のところは、これらの資金源には手を付けられてはいない。

ピーターソン国際経済研究所(※1)によれば、もしNAFTAが終結するようなことがあれば、ペソはおそらく25%以上の切り下げとなるだろうということだ。したがって、メキシコ製の自動車は米国内での競争力が増し、それによって(米政権の意図とは対照的に)米国の貿易赤字はさらに拡大することとなる。

 

 

通貨に及ぼす影響

トランプ大統領が大統領選での公約を実行することができたとしても、(メキシコを除く)ラテンアメリカの政策金利が上がる結果になるとは考えにくい。ラテンアメリカにおいて、インフレ率は2016年を通じて全体的に上昇した。この背景には、厳しい気象条件が食品価格を押し上げたことなどがある。しかし、この傾向は2017年には解消されている。これを受けて、コロンビア、チリ、ペルー、そして特にブラジルの中央銀行は、指標金利を緩和した。

外貨建て債務に及ぼすトランプノミクスの波及効果を評価するためには、ラテンアメリカ経済のCDSの進展と、これらの国の為替レートの動きとを考慮に入れる必要がある(※2)。

名目為替相場については、トランプ氏が大統領選に勝利したときにラテンアメリカ諸国で大幅な下落を記録したところはなかった。ここでも、最も激しい変動を見せているのはメキシコ・ペソである。2016年には、ペソは対米ドルで19%も下落したが、今年に入って1月半ばには回復をし始めた。

 

 

※1:PIIE:トランプ大統領のNAFTAへのアプローチが米・メキシコ間の貿易赤字を悪化させる可能性、2017年3月

※2:CDS:クレジット・デフォルト・スワップは、(債務者による)債務不履行やその他クレジット・イベントの際に売り手が買い手(レファレンス・ローンの債権者であることが多い)を補償するというスワップ契約である。

 


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