コファス・カントリーリスク・レポート

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発行:コファスジャパン信用保険会社


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ブレグジット:いくつかのショックはあったものの、英国は今後もビジネスには魅力的な土地であり続ける

国民投票後、景気はその回復力を証明しているが、投資が減少に転じ始めている
経済成長の低下(2017年に1.4%、2018年には1.2%)は倒産件数の増加に繋がり、それぞれ8.7% および8%1となっている
EUからの移住者の流入の減少は、英国の経済成長に対し、「ソフト・ブレグジット」路線の場合は0.3ポイント、そして「ハード・ブレグジット」の場合は最大で0.6ポイントのマイナスの影響を与える見通し
ビジネスにとっての魅力は減じるかもしれないが、それでも投資家の目から見れば依然として大きなメリットがある

 

英国経済は回復しているにもかかわらず、企業の間では様子見の態度が広まり、交渉の過程でさらに強まる
EU離脱を決めた国民投票から1年、英国の景気は家計消費(2016年に2.6%増)、優れた信用状態、そして世界的な強い需要などに支えられ、回復を見せている。2016年の第4四半期には、企業の利益は合計1050億英貨ポンドという史上最高額を記録した。国民投票の影響によって一時的に下落したマインドは、特に中小企業において大幅に向上した。依然として価格競争力の恩恵はあまりないとはいえ輸出は堅調だが、これは、迫りくるブレグジットの最も明瞭な兆しである英貨ポンドの急落によるものである。
好景気と企業の高利益にもかかわらず、英国とEUとの間の交渉の結果が不透明なことが、既に投資の低下を招いている(2016年にGDPの8.8%と、経済危機以降で最低の水準を記録)。2019年4月に向けた前哨戦において、これが増大するものと予想される。金属加工、自動車、建設など、投資が最も高くつくセクターが、最も大きな打撃を受けるだろう。
この交渉段階の結果次第で、現在の好景気にも影響が出る。2017年現在、インフレ圧力の高まりによる家計消費の減速は、小売セクターの低迷を招くだろう(コファスは2017年3月に同セクターのリスクを「中程度」から「高い」に引き上げた)。また、それよりは限られるものの、海外需要に支えられる自動車セクターにも圧力がかかる。さらに、為替レートの切り下げによって生じるコストの上昇を考えると、企業利益は漸減するものと予想される。このような状況下でコファスは、主として英国の成長率が2017年には1.4%、2018年には1.2%にまで減速することから、同国の破産件数が2017年には8.7%(※1)、2018年には8%(※1)で増加する可能性があると見積もっている。

※1:これらの見通しは、規制が変わったことによる2016年第4四半期に生じた企業破産件数の顕著な増加(1,796件)に対してモデルを調整したことによって得られた。この調整なしには、破産件数は2017年には2.7%、2018年には8.8%増加していたかもしれない。

 

魅力が減じ、貿易および移住政策はより制約の多いものになっていく中、英国企業は新たな活動の場に適応していく必要がある。
2019年春に英国が欧州連合を離脱する際は、保護貿易主義者のショックが貿易政策に大きな影響を及ぼす。特に(WTOルールへの回帰と共に)ハード・ブレグジットが実現した場合、関税と非関税の障壁が高まるため、影響が大きくなるだろう。そのためOECDによれば、2030年のGDPの減少は、ソフト・ブレグジットの場合の5%と比べて7.5%ほどになるだろう。
貿易ショックに伴い、一部のセクターでは制約的な移民政策の導入による労働力不足が生じる可能性もある。ソフト・ブレグジットの場合(コファスが想定する主要シナリオはこちらである)、ヨーロッパからの移民の流入が3分の1減少することにより潜在成長力が0.3 GDPポイント低下することが考えられる。これは、類似のシナリオにおける保護貿易主義ショックとほとんど同じくらい大きい。この低下は、正味の流入人口が3分の2減少するという極端なシナリオでは0.6ポイントにまで高まる可能性もある。製造業、卸売及び小売、運輸、通信および金融サービスなど、欧州連合からの資格のある移民を大勢雇用しているセクターが最も大きな打撃を受ける。
ブレグジットがソフトかハードかに関わらず、投資家にとっての英国の魅力が影響を受けることは避けがたい。海外直接投資(FDI)は22%(※2)減少する。英国は現在、主として金融、情報および通信セクターなどで、ヨーロッパにおける主なFDIの投資先となっており、これに運輸と物流が続く。ブレグジットは設備投資と資本の蓄積とに悪影響を及ぼし、それが結果としてイノベーションと研究開発を低下させる。
欧州連合を離脱するまで2年間の猶予を与えられた英国企業は、それぞれの戦略を立て直す必要がある。
また、脆弱で小規模な企業はより耐性のあるビジネスモデルへの変革を迫られ、一部破綻する企業も出てくるであろう。
それ以外の企業も、ドイツ、フランス、アイルランド、オランダなどへの移転など、セクター別や地理的な戦略を調整する必要が生じるだろう。それでも、ブレグジットは英国の構造的な魅力を完全に消し去ることにはならず、同国のメリットは今後も維持されるだろう。これらのビジネス上の利益には透明性、優れたガバナンス、ビジネスに優しい業界収益構造、そして多角化された柔軟性の高い労働市場などが含まれる。英国の魅力的な税制もブレグジットによって否定されるものではない。実際、税率が2017年初頭の20%から2020年には17%に引き下げられることで、その魅力はさらに高まる可能性がある。

※2: R. Bruno、N. Campos、S. EstrinおよびM. Tianによる研究「ヨーロッパに引き寄せられる:EUへの加盟によるFDIの効果の計量経済分析(Gravitating towards Europe: An Econometric Analysis of the FDI Effects of EU Membership)」2016年による

 

 


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