荷主企業の視点から運送事業者と最適な取引をするための取り組み

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亀田 剛

船井総研ロジ株式会社 DXL推進部 
部長 エグゼクティブコンサルタント

トラック事業者の取り巻く環境は、年々厳しくなってきております。
その状況下で荷主企業は、トラック事業者と上手に取引きするために良好なパートナー関係を構築することが重要だと感じております。
では、荷主企業はどういう取り組みをすると良いのでしょうか。

荷主企業は、トラック事業者が実施しているサービス内容を明確に把握するべきだと思います。
そこで、トラック事業者が自社(荷主企業や元請物流企業)に向けておこなっているサービスついて、適正な対価が支払われているのか把握する事が重要だと考えております。

まずは運賃の定義を明確にする必要があります。
一般に荷主企業がトラック事業者に支払っている運賃には、どのようなサービスまでの対価が含まれるのでしょうか。今回は、このことについて検討してみたいと思います。

上記の図のように、トラック事業者は、運送及び運送以外のサービスを荷主企業に対して提供していることが想定されます。
本来運賃とは、「貨物の運送」のサービスに対する対価として支払いがおこなわれるべきだと思われます。
ここで「貨物の運送」は、場所的移動及び、運送に必要な定型的な積み付け業務のことであるといわれます。(国土交通省・標準貨物自動車運送約款等参照)

しかし、実際のトラック事業者は、上記の附帯業務(「横持ち」「棚入れ」、「ラベル貼り」及びはい作業))をおこなっていることが多く見受けれます。
荷主企業は、この附帯業務等のサービスを運賃とは別建てで料金の支払いを考える必要があるのではないでしょうか。
なぜなら、荷主企業の倉庫スタッフがおこなうべき作業を、トラック事業者のドライバーが代わって業務をおこなうことになるので、その対価に見合った適正な料金を設定して支払うことは妥当だと考えるからです。

したがって、荷主企業とトラック事業者との間において運送サービスの内容を明確に設定して、双方が合意した適正なサービス料金を取り決めることが必要となるでしょう。

一方で、荷主企業とトラック事業者との間において「貨物の運送」に対する対価を取り決めるためには、適正な原価計算に基づいた運賃設定の方法が必要となります。まずは運送原価を把握することが重要です。
運送原価は、「固定費(車両費+保険料+修繕費+人件費)+変動費(燃料費+残業手当などの人件費)」で構成されています。

たとえば、専属便の場合の1運行あたりの運賃単価の設定方法の一例を紹介します。
その運賃単価は、①車両維持コスト+②時間コスト+③距離コスト+④管理費及び必要利益の合算にて算定することもできます。
この方法は、運送原価をベースにして、1日における車両回転率などを考慮して1運行あたりの運賃単価を算出することができます。

最後に、荷主企業は運送サービス及び附帯サービスを明確に把握して、そのサービスに見合った適正な原価計算に基づいた運賃を設定し、運送以外のサービス(業務対価)における費用を算定してその料金を支払っていくことが重要になってくるでしょう。

今後は運送費+付帯サービス=運賃といった計算方式が主流になることが想定されます。
これまで、付帯サービスを無料で提供されていた荷主企業は、大幅なコストアップが予想されます。

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亀田 剛

船井総研ロジ株式会社 DXL推進部 
部長 エグゼクティブコンサルタント

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