物流現場への5S定着に向けて

Pen Iconこの記事の執筆者

普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業や通販企業などの荷主企業に対し物流の改善提案を行い、物流拠点の見直しや物流業務委託先の再選定(物流コンペ)を進めてきた。物流拠点の見直しでは、コストやリードタイムだけでなく拠点BCP等のリスクも加味した提案を行っている。
また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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昨今、物流センターの自動化という話をよく聞くようになりました。

人間の判断を必要としない仕組みや、ピッキング作業者が対象商品の保管棚まで取りに行かずに棚そのものが移動するといったシステムも開発・導入されています。

しかしながら、それらの設備は初期投資が必要であり、また、決して安価なものではないため容易に導入することは困難と言えます。

今しばらくは運用の工夫のなかで作業品質と生産性の向上を目指して行く事が現実的だと思われます。

今回は、物流現場での「5S定着」について解説します。

物流現場での「5S」の目的とは?

作業品質・生産性向上を目指す際に話題にあがるのが5Sと現場改善です。

今回はその中で5Sに焦点を当ててお伝えします。

5Sが「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」を意味している事は多くの方が知っていると思いますが、具体的に何を指しているか不明確な現場によく遭遇します。

5S活動をただの美化活動と捉え、清掃し清潔に保つことが目的となってしまって、その先にある現場改善がうやむやになってしまっているケースもよくあります。

5Sは現場改善や作業標準化の土台となるものですので、しっかりと土台固めを行った上で取り組みに着手する必要があります。

倉庫の管理者や責任者が5Sのポスターを作成して貼り出し、朝礼で「整理とは・・・、整頓とは・・・」と唱えているだけでは、現場には定着しません。

日々の業務の中で5Sの重要性を理解し、現場に関わる全ての人が共通ルールの下、共通の認識を持って、正しい手順で5S活動に取り組むことが必要です。

一人一人の責任と判断に任せて各々が5Sを実行したとしても基準が個々人で大きく異なる為、いわゆるキレイ好きな人や気が利くタイプの人ばかりが丁寧に活動して、それらの人に多くのストレスがかかってしまいます。

正社員とパート・アルバイトといった雇用体系に関係なく、センター長や作業者といった役割の垣根を越えた『全員で取り組む自律的な5S活動』にすることが求められます。

モチベーションアップが定着につながる

「自律的」もここでは一つのキーワードとなります。

5Sに限らずいかなる活動も指示を受け、やらされている状態では定着しません。

定着させるには成果を体験する事と取組みが評価されることが重要な要素と言えます。

5Sの活動を定期的に見回り、活動状況のチェックと評価を行う機能が組織には求められます。

日々の忙しい中、貴重な業務時間を割いて取り組んでも、誰からも何も評価されなければ取り組みの熱が下がってしまうと共に日常業務に対するモチベーションも下がってしまいます。

自分が実施した5Sの取組みによってどのような成果が得られたのか、どう評価されているのかが分かる工夫が必要です。

5Sの本質を全員が理解することで活動が徹底され、定着する事で正常と異常の見える化が進められます。

そこではじめて現場改善や生産性の向上に着手することができると言えます。

作業効率と生産性の向上、コスト削減を目指す上での初歩中の初歩である5S活動の重要性を認識し、是非注力してください。

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普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
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製造業や通販企業などの荷主企業に対し物流の改善提案を行い、物流拠点の見直しや物流業務委託先の再選定(物流コンペ)を進めてきた。物流拠点の見直しでは、コストやリードタイムだけでなく拠点BCP等のリスクも加味した提案を行っている。
また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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