OJTだけでは足りない!物流子会社の企業価値を底上げするための新人教育

物流会社と荷主企業のパワーバランスが崩れ始め、物流会社がマウントをとる形にシフトしてきています。

では、荷主企業を親会社に持つ物流子会社はどうでしょうか。

多くの場合、物流会社からは強烈な値上げ要請を受けるものの、親会社を含めた荷主企業へ値上げ要請分を転嫁しきれず、利益を削って対応されているのではないでしょうか。

今後、パワーバランスがより物流会社に偏っていくと、物流子会社は荷主企業から今まで以上に提案・差別化が求められるようになります。

今回は、物流子会社が「荷主企業の子会社」ではなく、「荷主企業に求められる物流会社」になるために、会社の企業価値を底上げする施策を一つご紹介させていただきます。

まず、親会社である荷主企業が物流子会社に求めることとはなんでしょうか。

物流子会社のミッションは企業によって異なります。

親会社(荷主)の物流を取りまとめる元請として、物流コストの最適化を図るための物流子会社もあれば、親会社の商品に対する物流ノウハウを蓄積し、ノウハウを活用できる他の荷主企業の物流業務を獲得し、グループ企業として売上・利益の貢献を求められる物流子会社もあります。

いずれにしても必要な項目は、親会社の取り扱う商品カテゴリの物流知識・経験となります。

そのため、毎年新入社員を迎え入れる物流子会社の多くは、自社の運営する物流現場に研修で配属し、自社の業務・役割と共に、商品カテゴリ・業界の特色を掴むよう教育体制を敷かれています。

しかし、このようなOJTによる研修だけでは、2つの問題が発生します。

1つは自社の運営体制が大前提となり、改善・改革に向けた柔軟な発想を抑制してしまうこと。

もう1つは自社の運営の特色が、他社と比較してどのような差別化要素となるのか漠然とした認識となってしまうことです。

つまり、自社の運営以外にも常日頃から「他社の事例を吸収できる場」に参加し、自社運営への活用検討や自社の強みの落とし込みを行う環境が必要であるといえます。

他社の取り組みを知り、自社と全く異なる思想に触れることで、意識改革を行うことも期待できます。

一つの例として、「5S」に関する認識は、企業によって大きく異なります。

A社では5Sを徹底することにより、物流品質の向上は期待できるが、5Sに取り組むためのコストが発生するためプライオリティを低めに設定しています。

しかしB社では5Sの徹底により、品質はもちろんのこと、生産性も向上すると考え、5S活動のプライオリティを高く設定しています。

A社のベテラン社員にとってB社の考え方は初め理解できず、内容を把握しても「うちはB社とは環境が違うから」と否定的になる可能性があります。

しかし、実際にはどのような現場でも長期的にみると5Sを徹底することで生産性が向上し、結果としてコストダウンができる取り組みであり、当社でも推奨しております。

以上の面からも、入社間もない新入社員にこそ、より多くの他社事例に触れる機会が必要であるといえます。

では、どうすれば他社事例を入手することが可能でしょうか。

一つはインターネットでの検索や物流に関する書籍から自ら「調べる」手段が挙げられます。またはシステム会社やコンサルティング会社が主催するセミナーに参加し、「聞く」という手段も挙げられます。

当社としては前者も行いながら、後者も積極的に利用されることを推奨します。

新入社員には新入社員のレベルにあったセミナーを探すとよいでしょう。

セミナーに参加する場合、セミナー内容に加えて、講師に直接質問ができる時間を設けられていることが大半を占めます。

そのような機会を用い、物流への理解を深め、OJTの中で感じた疑問点を解消することが期待できます。

インターネットやスマートフォンの普及に伴い、無数の情報へすぐにアクセスできる反面、情報の精査が必要となり、調べれば調べるほど疑問が生まれるという方も多いのではないでしょうか。

ぜひセミナーや展示会などの機会を利用し、定期的に疑問を解消するサイクルを回し、新鮮な多くの情報を随時吸収できる環境を構築いただければと願います。

弊社においても講師と受講生の距離が近い物流セミナーを開催しています。

このセミナーは、毎回最後の講座でパネルディスカッション方式を用いて、質疑応答をその場で担当コンサルタントが対応しています。

まだ受講経験のない方は、ぜひ一度体験してみてください。

ページの先頭へ