個建荷役費検証の手法(その2)

船井総研ロジ

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船井総研ロジ株式会社

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前回の筆者コラム(個建荷役費検証の手法(その1))では、アウトソーシングをしている倉庫庫内業務で個建荷役単価の契約をしている場合にどのような視点で現場を見て、どの工程にどれくらいの工数が発生しているかを可視化する「工程別工数表」の作成方法について述べさせていただきました。

今回は現場を視察し作成した工程別工数表から実際に個建荷役単価の妥当性判断を行っていきます。

下表は前回のメルマガ時に作成した工程別工数管理表になります。

前回も述べましたがこの工程別工数表が詳細で精緻であればあるほど精度の高い検証を行うことができます。
荷主物流担当者はまずこの表の作成を現場に行き調査を行うことが必要であり、荷役妥当性を検証するためには不可欠であるという認識を持ってください。

さて、上記では一例として入荷・入庫工程においてどのような業務を、どのように行っているかを算出しています。

入荷・入庫全工程では42.83MHの工数が必要であると想定され、その業務をAM7~12時間(5h)で行うと設定した場合、42.83【MH】÷5【h】=8.57【人】で業務を行うという試算になります。

ここでは小数点以下の人数は除することができませんので繰り上げを行い、9【人】と算出しています。
<緑色枠記載>

次に算出した9名が業務項目の中で時間別にどのように割り振られているかの工程別人員配置タイムフロー表を作成します。

上記例では入荷・入庫作業工程で算出した9名が「荷受・入荷検品」で26【MH】、「格納」で28【MH】の工数であると算出しています。

1日当たりの想定入荷業務量(14,727ケース)を算出した入荷・入庫工程の人時【MH】で除して、生産性を算出すると、1時間当たり「荷受・入荷検品」では566ケース、「格納」では526ケースの業務が行えると算出できます。
入荷全工程(荷受~格納)としては1時間当たり273ケースの行える試算となります。

算出した1時間当たりの生産性(積数)から、現在個建契約を行っている荷役個建単価(上表オレンジ色)を掛け合わせ、1時間当たりの荷役費(上表黄色)を算出します。

上表では入荷荷役個建単価が@7円/csと@10円/csの場合をそれぞれ算出すると、

・@7円/cs:1時間当たりの荷役費1,911円
・@9円/cs:1時間当たりの荷役費2,457円

となり、対荷役作業委託先への支払い荷役費は試算できたことになります。

一方で、妥当性を判断するためには指標が必要となります。
ここでは在庫している拠点の人件費の近隣相場を調べ、物流会社負担となる各費用を考慮した物流会社の原価を試算します。

【物流会社荷役原価算出例】

・物流会社直雇用フォークマン時給を@1,500円/時給と仮定
・福利厚生費、健康保険、厚生年金など会社負担として時給に15%をプラス
=物流会社負担時給:1,500円×115%=1,725円/時

物流会社の荷役原価(指標)と算出した1時間当たりの個建単価契約時請求想定額を比較します。

■ケース単価@7円の場合
例:入庫)1,911円-1,725円=186円/時 物流会社利益額
(10.8%)物流会社利益率

■ケース単価@9円の場合
例:入庫)2,457円-1,725円=732円/時 物流会社利益額
(42.4%)物流会社利益率

どうでしょうか。

1cs当たりの個建単価差額がたった2円であるのに、役個建単価@7円/csの場合は物流会社利益率10.8%、@9円/csの場合は物流会社利益率42.4%となるのです。
この場合、前者は妥当性が判断できるといえますが、後者は割高であると判断できます。

このように個建荷役単価の妥当性は工程別の業務を細分化し、その業務を行うためにどれだけの工数が発生しているかという調査から、その作業が1時間内にどれだけできるかを試算することが前提条件となります。
そこから物流会社負担を考慮した周辺相場の時給人件費を算出し、算出した個建時給請求想定額と比較することで荷役個建単価の妥当性を判断することができるのです。

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