資材コスト削減のポイント

Pen Iconこの記事の執筆者

新関 崇浩

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

荷主企業として競争を勝ち抜くための論点の1つがコスト削減であることは言うまでもないと思います。

その対象を物流費に焦点を当てて考えるならば、物流費全体に占める比率の大きさから輸配送費に目が向けられることになるかと思います。

しかしながら、輸配送費については、専門の部署や担当者が委託先業者や契約配送会社と長年にわたりコスト削減の交渉を行っているケースが多く、更なるコスト削減を見込むのは容易ではありません。

一方で、物流費全体に占める比率の小ささ故に、商品を輸送する際に使用する段ボールや商品を保護する目的で使用されるエアーキャップや緩衝材等の資材費は、コストを統括的に管理している部署が存在せず、営業部門が個別で対応していたり、価格比較や検討をせず、言い値で調達を行っている事も少なくないのが実態です。

そこで今号では、荷主企業として焦点が当たりにくかった分、コスト削減の可能性が高い資材費に着目し、コスト削減のポイントを挙げていきたいと思います。

①仕入先の絞込み

仕入先を絞込む目的の一つは、量のとりまとめによるコスト削減ですが、それとは別に仕入先との強固な関係を構築する目的もあります。

営業部門が個別でサプライヤーに発注を行っている場合は、サプライヤーの総数が数10社になっていることが少なくありません。

この状況では、コスト削減を実行するのは困難です。まずは、サプライヤー数を調達している資材の品目別に区分します。

次に、サプライヤーの与信状況や今後の販売戦略に関する情報を収集し、長期的な視点からより強固な関係性を構築した方が望ましいと思われるサプライヤーを選定して頂ければと思います。

上記を行う事で、サプライヤー数の多さ故に形式的にならざるを得なかった調達価格の交渉も量の面及び質の面で大きく向上させる事が出来、結果、コスト削減につなげることが可能となります。

②発注ロットの最適化

発注ロットの最適化を行う前準備として、個別仕様となっている資材を取りまとめ、資材の発注数量の少ないものから標準仕様となっている資材に変更を行って頂ければと思います。

上記工程を経ることで、個別仕様資材の削減⇒標準仕様資材のオーダー数量拡大⇒発注ロットの最適化に伴うコスト削減額の最大化につなげることが可能となります。

上記状況を作った上で、発注ロットの最適化を行う訳ですが、この発注ロットを決定する上では、荷主 企業単独ではなく、サプライヤー側の生産ロットや納入ロットを考慮した上で、決定する事をお勧めいたします。

なぜならば、サプライヤー側のリスクもある程度緩和してあげる事で、双方にメリットがある環境を醸成し、荷主企業にとってメリットのある価格提示を受けられる可能性を高めることが出来るからです。

また、副次的な効果として、標準仕様に出来ない個別仕様の商材におけるコストにおいても、サプライヤー側の要望を取り入れた発注ロットにした事で、サプライヤー側からある程度コスト抑制された価格提示が受けられる可能性があります。

③発注商材の見直し

販売される製品は、新商品の販売やリニューアル商品の販売等、改廃が行われますが、それに伴う資材の標準仕様サイズの変更やそもそもの資材発注取りやめは行っていないという荷主企業が少なくありません。

こちらは、資材コストを管理している部署が存在していなかったり、それぞれの営業担当者が管理している等の要因で総括管理が出来ていないことが原因になっている可能性もあります。

億劫でも、一度資材の総点検を行い、無駄となっている商材がないかチェックをして頂ければと思います。

見直した事で、資材コストの削減だけでなく、資材保管場所の圧縮につながり、他のコスト面でプラスの影響を与える可能性があります。

今回お伝えしたポイントを実行は、地道な作業の積み重ねになるかと思います。

しかしながら、上記を行ったことがない荷主企業においては、コスト削減に繋がる可能性が高いので、ぜひ一度検証して頂ければと思います。

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新関 崇浩

船井総研ロジ株式会社 シニアコンサルタント

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