知っていて当然!BCPの基本的な考え方

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普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業や通販企業などの荷主企業に対し物流の改善提案を行い、物流拠点の見直しや物流業務委託先の再選定(物流コンペ)を進めてきた。物流拠点の見直しでは、コストやリードタイムだけでなく拠点BCP等のリスクも加味した提案を行っている。
また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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2011年3月11日の東日本大震災、記憶に新しいところですと2018年6月18日に大阪府北部を震源として発生した地震、2018年7月広島県や岡山県を中心に大きな被害を受けた西日本豪雨災害。

大規模な災害が発生した際にはBCPという言葉をあらゆる場面で聞きますが、喉元過ぎれば熱さを忘れるのと同じようにすぐに重要さを失念してしまい、ついついそこに注力することを後回しにしてしまいがちです。

せっかくBCPの重要性を再認識したにもかかわらず何も行動しないまま時間が過ぎてしまうのは非常にもったいないことです。

事前にBCPを策定しておくことはその企業・組織の事業価値だけでなく社会的価値の向上にもつながると言っても過言ではありません。

そこで今回はBCPの基本的な考え方についてお伝えします。

BCPとはそもそもBusiness Continuity Plan(事業継続計画)の頭文字をとったもので、緊急事態や有事の際に企業が損害を最小限に抑え、事業の早急な復旧のために実行すべき行動指針を事前に定めておくものです。

一般的に想定されている有事とは、地震・火災・津波・洪水といった自然災害からインフルエンザや疫病といったウイルス関連、情報漏洩やサイバーテロといったシステム系、ストライキやテロリズムといった人為的なものまで様々なものが含まれます。

また特定の業界に限られますが、食品を扱う業界では異物混入や食中毒なども企業活動の根幹を揺るがす大きな事件と言えます。

これらの事象が発生した際に業界として、企業として、組織として、個人として何を優先してどういう動きをとるかを前もって定めておくことにより早期の事業活動復旧を目指すものです。

たとえば大規模な災害が発生した場合は緊急対策本部の設置が求められますし、対策本部を中心に従業員の安否を含めた自社の損害状況の早期確認と並行して、顧客・取引先への影響度合いの確認が必要になります。

また、瞬時に自社で展開している事業の中の重要な業務を判断して復旧の優先順位を決める必要にも迫られます。

優先順位が高いと判断されたものを早期に復旧させるために誰が何をいつまでに完了させなければいけないか関係者全員の共通理解が必要です。

これだけのことを二次災害・三次災害の危険を感じる中で冷静に判断して決めることが果たしてできるでしょうか?

事前に取り決めておく方が良案であることは明らかです。

ただし、ここで1点注意すべきことがあります。

それは『BCPを策定して終わり』ではないということです。

BCPを策定して初めてスタートラインに立ったに過ぎません。

せっかく時間と労力をかけて策定したBCPについて、運用に対応しているかのテストや訓練が行われていなければ何の意味もありません。

様々な想定のもとで作成されたBCPでも実際に稼働させようと思ったときになかなかうまく機能しないことが良くあります。

常日頃からBCPで定めた手段や方法が実際に機能するか定期的に確認し必要に応じて随時、改訂・更新することが重要です。

BCPの策定は時間と労力とコストを要しますが、それらを費やすだけの価値があるということをぜひ認識して頂きたいと思います。

今回はBCPの基本的な考え方についてお伝えしましたが、物流目線で見た場合のBCPについては、また別の機会に執筆させていただきます。

■BCP策定支援プログラムはこちらです http://www.f-logi.com/service/bcp_formulate.php

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普勝 知宏

船井総研ロジ株式会社 ロジスティクスコンサルティング部
チームリーダー チーフコンサルタント

製造業や通販企業などの荷主企業に対し物流の改善提案を行い、物流拠点の見直しや物流業務委託先の再選定(物流コンペ)を進めてきた。物流拠点の見直しでは、コストやリードタイムだけでなく拠点BCP等のリスクも加味した提案を行っている。
また、物流業務委託先選定ではRFPの作成支援・コンペ事務局などを実行し、定量・定性両面での物流会社評価を行う。現在は物流現場の作業生産性向上や保管効率向上、5Sの導入による倉庫管理の改善に注力しており、各社の物流現場に合わせた改善手法の提供を行っている。​​

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