第307回 今、物流部がやるべき3つの施策(2)

Pen Iconこの記事の執筆者

赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

日本の宅配システムとドライバー不足

大手宅配3社(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便)が構築した日本の宅配便 システムは、世界でも ナンバーワンレベルの配送サービスです。

特に不在時の当日再配達サービスは日本特有のシステムともいえます。

米国の場合、サイン不要の宅配が大半ですので、不在時は玄関先へ置き配を したり、管理人やドアマン がいる物件では彼らに預けられます。 (その際には彼らへチップを渡して引き取ります)

宅配会社によっては3回まで再配達をしてくれますが、それでも不在の場合は、出荷人へ返送されます。

不在票はありますが、概ね「どこに置いてある」 等のメモとして使われています。

LAにいる私の知人は、Amazonで買い物をして宅配便で商品が届けられるが、 配達員を見たことがないと言います。

その理由は、常に玄関前に置き配をしているそうです(笑) 私たちの生活に溶け込んでいる多様化した宅配サービスは、今後大転換を余儀なくされています。

深刻なドライバー不足は解消の見込みがないため、サービスそのものを抜本的に見直すことが急務です。

「不在時の当日再配達」「早朝や夜間の配達」「長距離の翌日配達」等は、今後有料オプション(別料金)と なることが想定されます。

今後も成長が見込まれるネット通販を支える宅配サービスは、2017年から大きく変革することでしょう。

特にドライバー不足に起因した影響は、 宅配サービスだけにとどまることはなく、一般貨物であるBtoB市場へも波及しています。

近い将来、長距離ドライバーは廃止され、中距離(200km-400km)ドライバー の年収1,000万円もあり得ることと筆者は見ています。

そのような中、荷主企業は今、何をすべきでしょうか? 「物流部が今やるべきこと・やらないとならないこと」を考察します。

物流部がやるべき3つの施策

今、物流部がやるべき3つの施策は、以下の通りです。

(1)自社輸送体制の再点検
(2)「働き方改革」を阻害する業務の抽出
(3)物流改善「安定的な供給体制の構築」

今回は(1)自社輸送体制の再点検についてご説明します。

荷主企業が今後起こりえる輸送リスクとして想定する内容は、以下の通り。

・積込み時間早期化要求、もしくは撤退リスク
・手作業負担の軽減要求、もしくは撤退リスク
・納品待機時間の短縮化要求、もしくは輸送拒否リスク
・ドライバーによる荷主(荷受人含む)リフト操縦作業における費用発生  もしくは拒否リスク
・長距離輸送大幅値上げもしくは輸送難民(拒否)リスク

どれも現実的にあり得るリスクであり、その事象はすぐそこに来ています。

自社の輸送体制において、これら5つのリスクがどの程度あるのかを知っておくことが肝要です。

リスクは事前に想定し、回避策を講じておけば被害は最少レベルにとどめることが可能です。

現実に目を背けて、先送りにしておくことが最大の過ちと なります。

時代は急変しています。

経営層はまだ、現場で発生している諸々の出来事を理解しているとは思えま せん。

今、現場で何が起きていて、今後どうなるのか?をしっかりまとめて報告することが物流部の在り方ではないでしょうか?

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赤峰 誠司

船井総研ロジ株式会社 取締役 常務執行役員

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