輸送経済新聞コラム

当社の取締役執行役員 赤峰誠司がロジスティクス業界専門家として、3PL企業の生き残り戦略をテーマに「輸送経済新聞」へ綴った連載コラムです。

【物流塾】 3PL企業の生き残り戦略[4]
2015年の物流業界時流(4)多重構造の原価管理リスク

2015年2月10日掲載

 今回は、輸配送費と人件費上昇による収益率のひっ迫について考察する。
 運輸業界の取引実態は、驚くほどの多重構造となっている。
 特に3PL(サードパーティー・ロジスティクス)や物流フルアウトソーシングなどが急拡大した一九九〇年代以降、荷主から物流業務を請負う元請け事業者は、輸送業務に関して自社便比率を下げる戦略を実行してきた。自社ドライバーの賃金水準が高かったことと、新規受注の増加に現場が対応できなかったためだ。運輸業界では、元請け物流企業の再委託先である下請け企業も、さらに再々委託の運用形態があり、複雑な多重構造が常態化している。
 中長期輸送では、地方発の帰り便利用が主流であり従来営まれてきた水屋ビジネスが、IT(情報技術)を活用した求荷求車モデルへと進化しながら発展した。当時は、合理性の高い画期的なイノベーションだったといえる。
 運輸業界での多層的なビジネスモデルがこの時期に一定期間継続できたのは、新卒や他業種からの転職組などドライバー職を志望する人材が十分満たされていたためだろう。だが現在は、求職者の職業選択の中で、ドライバー職の魅力低下が人材不足として顕在化している。
 雇用に関する需要と供給のバランスが崩壊すると、即賃金上昇へとつながる。多重下請け構造の中で、実際に業務を担う事業者から一つ上の階段(契約先)へコストアップが要求されると、多重構造の最上階にいる3PL企業や一括元請け企業には、何重もの値上げプレミアムが付随した価格が求められる。
 荷主と直契約をしている事業者は、全てのコストアップ要求を荷主へ転嫁できない現状では、自社の利益を削って取引契約を維持するか、思い切った撤退を決断するのか迫られることになる。これは長年の多重取引構造がもたらした悪しき弊害の帰結だ。
 3PLビジネスにおける戦略的ドライバー(左右因子)の一つに、多層構造のシームレス化が挙げられる。原価管理が不確実な取引形態は、3PL事業者として大きなリスク。可能な限り排除するべきだ。荷主を代行して最適なロジスティクス体制の構築・運用・改善をミッションとすることが本来の3PL事業者。マネジメント力の劣る3PLビジネスは、いずれ市場から撤退することが容易に想像される。
荷主がいて、3PL事業者がコントロールし、実運送会社が運行する。輸配送は、このシンプルな構造こそが、今後求められる情報化時代の3PLではないだろうか。




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