輸送経済新聞コラム

当社の取締役執行役員 赤峰誠司がロジスティクス業界専門家として、3PL企業の生き残り戦略をテーマに「輸送経済新聞」へ綴った連載コラムです。

【物流塾】 3PL企業の生き残り戦略[15]
中小物流企業の組織特性(1)経営に必要な3資源

2015年8月4日掲載

 物流事業の大多数は、中企業が経営する道路貨物運送業(六万三千社)が占める。中小の物流事業者にとって、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)は生き残りをかけた希望だが、極めて困難な戦略でもある。中小にとって3PLが難しいのは、三つの経営資源が必須なため。
 一つ目は、人的資源。マーケティング・企画分析・提案営業・実行マネジメント・改善活動など、求められる人材は多岐にわたり、中小事業者が一番確保しにくい。
 二つ目は、ICT(情報通信技術)力。3PLは荷主を代行して物流の管理・運営を行うため、荷主以上のICTスキルとパワーが求められる。三つ目は、資金力。人材もICTも資金なくして確保はできない。3PL事業では、荷主への提案営業活動の後、受注・開始準備・立ち上げなどのプロセスを経て、最初の売掛金回収までの期間は約一年間だ。
 一方で、サプライチェーン上に存在するそれぞれの企業は、最適化を当然進めたいが、他社への情報開示は、どちらかというと積極的ではない。この微妙な企業間取引の緩衝材となり得る存在が「物流子会社」だ。
 物件確保費(保証金や前家賃など)やWMS(倉庫管理システム)開発費用などの合計は、見込み月間売り上げの三倍以上のイニシャルコストが発生。案件に関わる関係者の人件費も売掛金回収前に支出する。これらの事情を考えると、中小物流事業者が3PL事業を戦略の中心として展開するにはかなり荷が重い。

運送の現場力は「安全運行」
 中小事業者が生き残る道はケイパビリティー(組織特性)の徹底追及だ。ケイパビリティーとは、企業が全体として持つ組織的な能力。物流事業者にとっての組織的な能力とは、ズバリ「現場力」だ。
 輸送にしても倉庫・センター運営にしても、現場力の高さが物流事業者としての価値を決める。
 経営トップからパートタイマーに至る全員が共通して持つ価値観や、現場運営の技術力を向上しようとする企業文化の醸成こそが、企業独自のケイパビリティーとして荷主に訴求できる。
 運送の現場力は、安全・安心運行。法を順守し、納期を守り、品質を担保する。至極当たり前のことだが、組織的に全員が同じ意識を持って業務を遂行し続けるのは難しい。
 倉庫・物流センターでは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底。5Sを追求している物流現場は生産性も向上し利益が創出される。現場力の追求は大手でも中小でも可能だ。
 中小事業者は何が自社のケイパビリティーかをいま一度熟考してほしい。
 




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