ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

物流アウトソーシングに包含する問題

結果・提言

自社ノウハウ及びアウトソーシングによるリスクを最低限に抑えるための5つのルールです。

ルール1 : 業務プロセスを明文化し、ブラックボックスを解消する。
ルール2 : プロセスフローの可視化を図り、物流作業を数値で管理する。
ルール3 : 自社作業のコスト妥当性を判断できる基準設定を行う。
ルール4 : 物流情報システムは物流企業任せにしないこと。
ルール5 : 直接契約によるリスク回避
■ ルール1:業務プロセスの明文化を行い、ブラックボックスを解消する。

自社の業務フローは、明文化することでブラックボックスの解消が実現できます。更に、業務フローの中で、標準化された定型業務と、標準化が図りづらい非定型業務を区分することでより効果的な仕様書となります。 委託する業務は、(前提として)誰が実行しても変わらない品質と、最低限の生産性を保つことができる『定型業務』でなければなりません。これを見極めないままに委託してしまうと業務品質や生産性の管理に支障を来たす恐れがあります。定型化されていない『非定型業務』がそのまま外部委託されると属人的な業務となります。 業務の『定型化』を推進することが品質の安定につながり最終的にはコスト低減に繋がります。


■ ルール2:プロセスフローの可視化を図り、物流業務(作業)を数値で管理する。

コストと品質に大きく影響を与える業務に対しては自社で管理できる手法・シクミを整備します。『物流業務』という大きな括りで業務を捉えるのではなく、細分化して業務のコスト変動を担っている部分を管理できる仕組みを整備します。 そのためには、個々の業務の生産性(工程別生産性・積載率・保管充填率など)を把握する機能は委託先に担ってもらい、定例の報告事項として定点観測します。評価に必要な情報は委託先から業務実績を提供してもらい、その実績数値から状況を読み取り、検証する機能を保有します。 荷主企業の主要業務として、物流業務を精査する機能を保有することは、外部委託リスクを大幅に低下させます。管理KPIを設定し、荷主と物流企業で継続的な改善活動が可能な関係を構築することが肝要です。


■ ルール3:自社作業のコスト妥当性を判断できる基準設定を行う。

業務内容の定型化、及び可視化が進めば、その業務は誰が見ても理解可能な連続性のある標準作業へと進化します。コスト妥当性を判断するうえで、標準KPIと目標KPIを設定することにより、適正コストが算出可能となります。適正基準のないコスト削減には、継続性に問題があることは言うまでもありません。


■ ルール4:物流情報システムは物流企業任せにしないこと。

物流情報システムは業務遂行の基礎となるもので、極めて重要な機能といえます。一方で、物流企業の保有する業務ノウハウへの期待や、開発に関わるイニシャルコストを削減するために、システム開発費用の負担を物流企業に求める、もしくは物流企業が保有するシステムを活用するケースが増加しています。「物流に関する投資はしない」という企業判断が根底にあるものと思われますが、将来において業務委託先を変更する際に、その方針が大きな弊害となることがあります。 委託先を変更するためには情報システムを開発する必要がありますが、そのための業務ノウハウが無ければシステム設計に必要な要件定義が作成できません。また、新規事業者はシステム開発から始めなければならないため、委託先への移行に多大な時間とコストが必要となります。物流情報システムは、先々を考えたノウハウ保有面からみても「自社所有」とすることが好ましいといえます。自社所有しない場合であってもその設計に関わり、要件定義書は自社で保有することを最低限としておくべきでしょう。企業にあって投資とは、回収やリターンという概念を持たざるを得ない種類の活動ですが、こと物流情報システムに対する投資は、それだけでなく「保険」という別の意味を加える必要があります。システムなくして物流は生きていけないからです。


■ ルール5:直接契約によるリスク回避。

倉庫、作業、輸配送など外部委託する領域は多岐に渡りますが、元請先と契約を一本化するか、機能別(倉庫、路線便など)に可能な範囲で個別契約をするか、その契約形態は深く検討する必要があります。物流管理全般をコントロールする人材や部署を社内に確保できるのであれば、オペレーション企業と直接契約することをお勧めします。直接契約を締結することでオペレーション会社への影響力が保持され、コスト妥当性の判断や交渉が可能となり、相場観を失うことなくコストをコントールすることが可能な体制となるからです。

最後に・・・

物流アウトソーシングもコストダウンも一巡した中で、様々な外部委託の体制が試行錯誤されてきました。契約更新やパートナー変更が繰り返し行われてきた結果、物流の業務委託体制のあるべき姿が見えてきました。

これまで、深く見直しをせずに物流アウトソーシングを継続している企業は、現在の委託内容を一度深く突き詰めて精査される時期にあるといえます。『アウトソーシング=自社ノウハウの喪失』といっても過言では無く、深い検討の中で委託方法を精査しなければ、コア業務を支える準コア業務のノウハウを社内から喪失させることになりかねません。

企業活動において売上の平均5%を占めるといわれる物流コストは、営業利益に直結する大きなコストです。 安易に外部委託を実施するのでなく、業務内容を分解し、理解したうえで外部委託する領域を選択しなければなりません。物流アウトソーシングを本質的かつ多面的に見直すことが、企業競争力の源泉となる『収益体制強化』のための次の一手となりえるのです。

以上

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【発行日】

2011/10/6


【執筆者】

渡辺 庸介

ライン統括本部 次長




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