ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

変革迫られる物流子会社のあり方

視点・分析

自社の強みを活かし、業種業界の壁を乗り越え外部顧客を獲得できる力を備えた物流子会社のみが、「自立経営を実現できる物流子会社」と言えます。それは、

・売上高に対する外販比率が内販比率(親会社とグループ関連会社)を超えていること
・親会社に継続的なコスト削減や配当などの形で利益還元していること

という点で見極めることができます。
しかし、そのような物流子会社は一握り、といっても過言では無いと認識します。 なぜこうした『自立経営型』の子会社は限定的なのか、我々は、この課題について次のように思料しています。

1.営業機能の課題

物流業務を獲得する営業力(人材・ノウハウ・シクミ)に不足がある場合が多い。

2.取り扱い商材ノウハウの偏り

親会社の扱う商材以外でのオペレーション経験が乏しい場合は、新たな物流領域についての設計・試算スキルに不足が不十分のため、企画提案の実践に結びつかない。

3.提供機能の偏り

一般的に、親会社貨物のボリュームメリットは、輸配送単価において競争優位に働き、自ずと、倉庫内作業(入出荷業務や流通加工)と比較して、販売しやすい輸配送領域に傾倒する傾向にある。しかし、輸配送では絶え間なくプライス・バトルが展開され、新規顧客を獲得した場合でも、一定の利益を確保することは容易ではない。

4.保守的な思考 そのⅠ

既知のノウハウが及ばない、未知の商材や業務、新規事業や設備投資などに対する、積極的な挑戦を回避する思考に偏りがちである。

5.保守的な思考 そのⅡ

経営層が定期的に交代する場合が多く、任期中に策定した経営方針について、完遂することが難しいという構造的問題がある。


では、物流子会社が『自立経営型』へと歩みを進めるには、どのような施策が考えられるでしょうか。その検討にあたって、ここで、物流子会社のポジショニングを整理してみます。

外販比率及び営業施策、つまり獲得した外販の業務内容を軸にして、 以下の4類型に分類できると考えます。

類型ごとの、一般的な特性
物流子会社 営業施策分類
(1) 受け皿コストセンター型

親会社の物流に専念。定期的な親会社人員の受け入れも重要な役割。基本的に外販は行わない。

(2) ノウハウ不足型

内販の物量をベースカーゴとして外販を獲得。しかし、親会社の属する業界の物流から拡大できていない。そのため、最もスキルを要する倉庫内作業における粗利は低く、輸配送業務を安値受注。

(3) 営業力不足型

親会社及びグループ会社の物流領域外にノウハウを広げ、倉庫内作業を通じた利益も捻出。しかし、営業力が不足し、ベースカーゴを超える外販獲得に至らない。

(4) 自立3PL型

親会社及びグループ会社の属する業界を超えて外販を獲得できるスキルが定着。受託作業においても継続的な利益創出を達成、かつ、こうしたアドバンテージを活かす営業活動が良好に機能。


類型ごとに散見される課題
分類
課題
(1)受け皿
コストセンター型
コストセンターという位置づけであるため、常にコストを比較される。最終的にグループ以外の企業と競合する場面では、コスト低減を追求できていない場合、親会社業務も外部企業に奪われる。
(2)ノウハウ不足型 親会社の業界外に進出する機会が見つけられないため、物量が増加しない。新たな業界の物流業務を受託した場合でも、オペレーションが安定せず、利益を残すことができない。既存業界での外販営業に取組むものの、既に棲み分けが定着し、新規受託が困難である。荷主からのコストダウン要求に、自社の利益を削って応えている。
(3)営業力不足型 ー部の人材によって、親会社の商材以外のノウハウが属人的に保有され、組織的に営業展開できる体制ではない。親会社の課題解決は真摯に取り組み、物流専業子会社としての役割を担っているが、外販では思うように利益捻出できず、内販業務で得た利益で、その赤字を穴埋めしているケースもある。

上述した(1)~(3)にポジショニングされる子会社を有する親会社においては必ず、「物流子会社はプロフィット部門なのか、コストセンターなのか?」という議論が表面化し、いまや看過できない重要な経営課題となっています。


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