ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

物流コスト削減の視点

視点・分析

前述3つのアプローチに取り組んだ企業が次の一手に苦慮しています。大きなコスト削減果を発揮した取り組みは一段落し、緩やか(僅かな)なコスト削減を継続して取り組んできましたが、また大幅なコスト削減を社内から要求されつつあります。今までの取り組みの継続では、経営の観点から求められるレベルの物流コスト改善は達成できなくなり、次の段階のコスト削減の取り組みが実行される段階にきています。

しかし、輸配送、保管、作業、資材のどの分野においても、簡単に単価を見直せる状況ではありません。厳しい市況にある中で、物流アウトソーシングを担っているパートナー企業も、更なるコストプレッシャーを吸収し続けられない状況になっていることは間違いありません。

輸配送の弊害となる国内環境
■車輛不足

物流企業の近年の潮流として、自社便比率を抑制し、傭車比率を上げる傾向にあります。運賃が下がる一方の中、車輛買い替えに必要な資金力を保有している運送会社が減少していることが第一の理由です。今後、日本国内の物量減少が予測される中、輸配送業務の受注競争は更に加熱することが予測されます。トラックを保有し、ドライバーを雇用する様々なリスクや固定費を考慮すると、車輛保有を避け、傭車を選択するは自明の理でしょう。

■ドライバー不足

一昔前のトラックドライバーは、仕事が厳しく給料が高い職業の代表格として若年層から一定の支持を集めていました。しかし、昨今では物流コスト削減の中で、コンプライアンス重視や労働条件の整備などの内外環境が大きく変化しました。また、顧客との条件変更なしの単価見直しが進んだ結果、運賃低下に連動してドライバーの給与も低下しました。その結果、ドライバーの高給への魅力は損なわれていきました。また、中型免許制度が施行されたことにより、平成19年6月以降に普通免許を取得した場合、普通免許で4t車を運転できなくなりました。普通免許では最大積載量3tまでしか乗車できません。トラックドライバーになることを望んで免許を取得した人材でなければ、3t車以上のトラックには乗車できないことになっているのです。ドライバーになるための障壁ができたことにより、今まで同様にドライバー人数を雇用することが不可能になってくることも予測されます。

■ 燃料高騰
物流コスト削減・石油情報センター表

右図は昭和62年(25年前)からの軽油単価(税抜:スタンド給油)の一覧です。軽油価格は25年前から短期的な上下はあるものの、ほぼ一直線の上昇傾向にあります。20年前の平成4年度を100とした場合、直近の平成23年度4月9日時点の価格は173.6ポイントとなっています。
また、燃料高騰が長距離輸送に与えるコストインパクトは極めて大きなものになります。簡易的な試算では、走行距離50㎞の場合、76円/㍑の場合は運賃に占める燃料比が3.1%ですが、130円/㍑になると同5.1%になり、2ポイントも上昇するのです。更に、走行距離500kmになると、130円/㍑の場合は運賃の39.3%を占めることになります。運賃に対する軽油単価の影響が、長距離になればなるほどより色濃く反映されることがわかります。

<輸送距離別の軽油単価が運賃に占める構成比(%)の比率>

軽油作業
距離 76/㍑ 130円/㍑
50km 3.1% 5.1%
500km 23.0% 39.3%

保管コスト削減の弊害となる国内環境

保管の坪単価は価格変動幅が小さく、周辺相場が形成されたうえで設備や規模などの要因を加えてその坪単価が形成されています。確かに周辺に大規模な倉庫が新設されることで、多少の上下はあるとしても、スペースや在庫回転に変化のないままで大幅な賃料ダウンはあり得ません。耐震性を向上するための建築コストUPや電気料金の値上げが想定される中では一層厳しい状況になるといえます。
また、一括受託する物流企業の中には政策的に利益は極力倉庫賃料で捻出し、作業及び運賃で競争力のある低価格を設定する企業もあります。その場合、固定収入となる倉庫賃料を削ってコスト削減効果を捻出することは考え難い状況といえます。

作業コスト削減の弊害となる国内環境

近年の物流アウトソーシングは、契約期間が短期化する傾向にあります。基本契約は2年契約、その後は1年単位の自動更新が主流となってきました。満足する結果が得られない場合、2年単位で次のアウトソーシングパートナーを選定することになります。2年間で安定化~習熟レベルを求めるには期間が足らず、常に立ち上げと安定化を繰り返しているような状況に陥ります。

受託する物流企業は、作業スタッフをパート社員と人材派遣で構成し、正規社員比率は10~20%以内で抑えるところまで標準化が進められている事例も少なくありません。この場合、人件費において大きな改善余白が見込まれることはありません。作業改善によるコスト削減効果は、短期間で莫大な効果が出ることは少なく、マテハン機器や情報システムに投資を重ねたうえでの作業人時削減になります。倉庫作業は、熟練度と改善による生産性向上を目指して、毎年継続したコスト削減活動に取り組むことが一般的になっています。

しかし、受託期間が長期化すればコスト削減効果も薄れることは必至であり、継続して作業改善に着手する企業ほど大きなコスト削減効果を捻出することが困難になっているといえます。

物流会社や倉庫会社、資材サプライヤーが原価高騰にさらされる中で、取引条件の変化なしに荷主からの単価値下げ要請を受け入れるには困難な状況にあるといえます。さらに昨今の不況下では、利益水準の低い荷主との取引継続自体を見直す動きも増えてきました。ボリュームだけを前面に出した交渉で、競争優位な価格を引き出せる時流ではなくなったのです。


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