ロジスティクス・インサイト「物流オピニオン」

物流コスト削減の視点

 我々、物流コンサルティング会社にご相談いただく定番かつ最も多いテーマが『物流コスト削減』です。
企業経営におけるコスト削減は終わりのない要求であり、各社各様に永続的な取り組みを実行しています。そのような中、2012年度の内外環境を見据えて、製造業を中心とする荷主企業各社は、物流費をターゲットにしたコスト削減を活発化させています。円高による輸出収支の圧迫、国内向け供給の減少などから、大幅な収支改善の必要性が高まっているためです。

 これまで安定的な物流体制を重視してきた企業、つまり物流コスト削減を積極的に取り組んでこなかった企業が改めて目を向けるケースもあります。一方、一筋縄ではいかないのが、今まで既に物流コスト削減に熱心に取り組んできた企業です。毎年のように物流改善を実施してきた企業は、単純な『コストの見直し』という取り組みではなく、より難易度の高い領域に踏み込まなければ、目指すコスト削減目標に到達できない状況になってきています。

 当物流オピニオンは、もう一歩踏み込んだ効果的な『物流コスト削減の視点』について考察します。


物流費への着眼
製造業 卸売業 小売業
売上物流費比率 4.79% 5.11% 4.19%
日本ロジスティクスシステム協会 2010年度調査

物流費の構成は企業によって全く異なります。
日本ロジスティクスシステム協会の資料を参照すると、
売上に対する物流費の比率は製造業で4.79%、卸売業で5.11%、小売業で4.19%となっています。販売費及び一般管理費の中で、人件費や家賃に次ぐ構成比の上位を占める物流費は、どの企業でも目につく費用であることは今も昔も変わりません。

一昔前の『物流費』は、多くの企業にとって敬遠されがちなコストでした。物流コスト削減が敬遠された要因は次のような理由がありました。

永く取引を継続している特定の物流会社があり、問題も発生していないので見直されていない
(1)従来とおりのやり方を変更して納品に影響があっては困る
(2)物流を変えることで、他部門の抵抗が予想されるので面倒である
(3)専門性があってわかりずらい
(4)相場がわからず、価格の妥当性が判断できない

しかし、管理会計論、原価計算論で著名な西澤先生(*1)が40年前に唱えられた効率経営の視点は『売上拡大の取り組み』が第1の利潤、『製造原価や仕入原価の削減』が第2、そして第3の利潤源として『物流費』が加えられるようになりました。それまで、なかなか手を付けなかった領域にも『物流コストDOWN=営業利益UP』を求めて、物流改善に着手する企業が増えていきました。更にこの20年では、経営戦略の中核にロジスティクス戦略を据え、積極的に取り組む企業も増加しました。つまり効率経営に「物流」は欠かすことのできない要因の一つとして昇華されていったのです。

(*1)西澤 脩 (ニシザワ オサム)1930年7月4日生まれ。
学歴:早稲田大学商学部卒業、早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了、同博士課程満期退学。
教歴:早稲田大学商学部副手・助手・講師・助教授・教授・名誉教授 LEC会計大学院教授

物流コスト削減に取り組んだ企業の切り口

物流コスト削減に取り組んだ企業は、概ね下記3つの切り口でアプローチしました。

■コスト削減アプローチ1: 運賃, 倉庫保管料, 倉庫作業料『単価』の低減

物流コスト削減に取り組む企業の多くは単価の精査・見直しから入ることが多く、製造原価や仕入原価の見直しと同様の手法で購買見直しに着手されます。

配送トラックチャーター運賃、宅配運賃、路線便運賃、船便、航空便など
(1)保管料 倉庫賃借料(坪単価・㎡/期単価・パレット/期単価)など
(2)作 業  作業単価(円/ピース・円/ケース)など
(3)資 材  梱包用資材、緩衝材など

確かな工程分析と時間計測を基準に単価の妥当性を判断された企業もあれば、単に既存企業に削減を要請されることで完了された企業もあります。

■コスト削減アプローチ2: 拠点集約

納品先の分布状況からみて受注翌日に配送できるサービスを基準に、全国の拠点配置を見直す取り組みです。北海道、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡などに配置した拠点を1~3拠点に集約することで、拠点賃料、管理コスト、拠点運営に関わる諸経費、在庫圧縮に効果を発揮する手法です。拠点数が減少することで配送距離の延長による運賃UPなどのデメリットもありますが、トータルコスト削減としてインパクトある施策となったのです。

■コスト削減アプローチ3: (輸配送, 倉庫作業, 保管)改善による効率の向上

拠点配置が安定した後は効率向上のための改善です。輸送では積載率、回転率、実車率を高めるための改善が、保管では保管効率向上のための積み方、保管方法の改善に取り組むことになります。倉庫作業では5Sやレイアウト変更、ピッキング方法の変更、情報システムの再構築などにより作業効率を向上し、コスト削減を積み上げる施策です。これら効率向上の取り組みは、拠点集約のように短期間で大きな改善効果を得る取り組みではありません。改善を継続する下地作りと強い現場体制構築を目的にした取り組みなのです。


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